(華)『女帝』

みなさま、御機嫌如何でせうか?わたくし、久方ぶりに登場のマダム・DEEP
で御座ひます。

帝都のみならず、この日本で最高の格式を誇る裏社交界が銀座で御座ひます。
この『女帝』は、金子も地位も無ひ一人の女御が、自分と母を捨てた父と、
その背後に群がる魑魅魍魎たちに復讐するために、銀座裏社交界の頂点を目
指す大河浪漫で御座ひますの。


熊本にてスナック『火の国』を経営してゐた母まりこ(多岐川 裕美さま)
の死と店舗跡地の再開発で、故郷を追われたヒロインの彩香御嬢様(小沢真珠
御嬢様)。地元有力者杉野建設と北条代議士の勢力により、強引な立ち退き要求
と中傷で、母子を屈辱的な目に遭わせた殿御に復讐するため、綾花は権力を握る
男たちより上に立つことを誓ふのでせう。(きつぱり)
金も後ろ盾も持たなひ女御が細腕にて権力に近づくには、裏社交界の女になる
のが今も昔も一番の近道でせう。彩香はその第一歩として、大阪十三のスナック
「麻里子」でホステスとして働き始めるのでせうが……。


ヒロイン彩香御嬢様を演じたのは、新人の小沢真珠御嬢様、そして彼女の
まぶだち”ナオト”を演じられたのは、高知東生さま。御二人及び、大阪
の御母上”麻里子”を演じてゐらつしゃる宮川花子さま。そしてミナミの
高級倶楽部”エレガンス”の上客で関西財閥の首領”ミナミの妖怪”を演
じてゐるのはミッキー・カーティスさま。いずれ劣らぬ好演&熱演でせう。

原作・倉科遼さま、画・和気一作の『女帝』を十六巻迄拝読致しましたが、
これはそのうちの2巻までの御話でして、実に良く脚色が為されてゐるのに
驚くばかりで御座ひます。大変に原作も面白ひので、映画を観るに当たつては
若干の不安もありましたが、映画版の監修&特別出演として現、銀座裏社交界
の頂点に立たれてゐらつしやる倶楽部「順子」の女主人 田村 順子さまが
配されてゐることからも決して手抜きせず、原作に大きなウエイトを占めて
ゐた「謎の父親」の姿を一時的に隠すことにより、より直線的に話が展開して
ゆくのには唸つた次第で御座ひます。

直人さまと彩香さまのおしげりをしなひ関係も、見てゐて「わたくしにも、
かうして胸を焦がした人が居りましたわね(しんみり)とさせるやうな儚さ
が御座ひますし、ミナミの倶楽部「エレガンス」でのナンバー1の座を巡る
麗子さまと宿敵杉野との会席は「戦ひの場」として鮮やかに描かれてゐるの
でせう。

そして、映画版のほうが宜しかつたのは、”ミナミの妖怪”が熟年の趣味人
が醸し出す「色」に溢れてゐたことでせう。これだつたら、金子は結構でせ
うから御話だけでも御一緒に為りたひですわ(うつとり)わたくしも、杉野
さまの御父上さまとは、金子を積まれても御一緒には断じて為りたく御座ひ
ませんわ(きつぱり)

原作のほうを読まれていれば、一層楽しめる内容でせうが御存知なくとも
実に良く出来ておりますし、『女帝』入門編としてうつてつけのものでせう。
この本には、世間さまで生き抜くための知恵がぎつしりと詰まつております。

「裏社交界の徒花」マダム・DEEP

(2002年1月15日 ビデオにて鑑賞)

「さ」行で、はじまる映画の感想にもどる

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送