(社)『金融腐敗列島・呪縛』

原田眞人監督の最新作『金融腐食列島・呪縛』はバブル経済が破綻した後も生
き続ける総会屋と巨大銀行の癒着を真正面から描いたドラマなのですが………。

かなりの野心作だと思います。キャストも豪華ですし、オープニングから戦後
から現在までの経済成長史を画像で処理したところは見事です。

そして………ゲームデザイン的な見取り図。日比谷公園を核として舞台となる
ACB(朝日中央銀行)、検察庁、プレスセンタービル、警視庁等の配置が一
目瞭然なのも………それに銀行の頭取室等が設置されたフロアーが必要以上に
仰々しいのもゲーム的センスで宜しいですね。(^^)

ただ、演出はスピーディーで活気があるのですが、あり過ぎても宜しくありま
せん。この映画では、東京地検特捜部が、某大物総会屋の死を契機に大銀行に
メスを入れるところから始まり、金融パニック物として売り出そうとしている
のですが………クライマックスである株主総会のシーンは、もとより、出演者
の皆様が一斉に喋る場面が多く、「混乱」は判るものの、肝心要のセリフが聞
き取りずらいと言う笑うに笑えない事態になっているのです。

それと、今回の映画では、役所広司様演じる北野を中心とした青年将校団四人
組が決起を図り、マスメディアを利用して内部改革を図ろうとする物語ですが、
この構図が今ひとつ見えてこないのです。
この映画では、大蔵省(MOF)と検察庁の一人を代表として動かしているの
ですが、大蔵省は兎も角、検察庁の動きをもっと立体的に組み合わせ

銀行=マスメディア=検察庁

のセットにした方がずっと説得力が出てきた様に思います。検察庁が記者クラ
ブの番記者を使って情報操作をしているのも半ば公然の事実なのですから……。

銀行を使った映画ですと、『華麗なる一族』がありましたが、その時の頭取の
息子を演じていたのが仲代達矢様でして………今回、佐々木相談役と言う影の
実力者を演じているのが「時の流れ」を感じます。

今回の演技は、ちょっと山崎努様が入っていたかな………(笑)
仰々しさを過剰に出したのでしょうが………重みは無かったですねぇ。
その「重み」で一番の得をしているのが佐藤慶様。この方は本当にこうした実
業家を演じさせると本当に上手い。今回は程よく脂が抜けて良い感じです。

全般を通して、ちょっと疲れたなぁ………と言うのが正直な感想。

最後は浪花節で〆るのが基本ですかねぇ………(笑)

いよっ! 水戸黄門!(^^ゞ

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(10月6日 シネマサンシャイン1にて鑑賞)

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