(崩)『真犯人』

印度娯楽映画と言えば、歌と舞ひが全般に織り込まれ、3時間の長尺が、今と
なっては定説となりましたが、この『真犯人』のように、歌も舞ひも無く半分
の1時間37分という作品もあったのですねぇ……(しかも、休憩が入るんで
す!)

話のほうは、単純明解……独り暮らしのヒロイン(ウルミラー・マートーンド
カル御嬢様)は、テレビから流される連続女性殺人犯のニュースに脅えていた。
ニュースによると、その殺人犯は、独り暮らしの女性を狙い、家に上がり込ん
だ後にロープで絞殺しているという……。その直後、雨乞いを求めた男(マノ
ージ・バージパイ様)が現れる。彼は、とある実業家を訪れたのですがどうも、
怪しい。不審に思う彼女も根負けして結果的に中に入れてしまう……挙動不審
が頂点に達し……彼女が彼から逃げようと家を出た瞬間に、拳銃を持った第二
の男(スシャント・クマール様)が立っていた……第二の男を刑事だと思い込
んだ彼女は彼も中に入れてしまうが……


(以下、強烈なネタ明かしがあります……未見の方は読まない様に)
(日本でもひょっとしたら、ビデオリリースの可能性が在る為)

 























この映画、終ったときには、脱力感を感じるか……喜ぶか?どちらかの反応し
か在りません。その位強烈な結末なんです。最初のほうは、『ザ・ショック』
を懐かしく思えるようなコケオドシシーンの連発でして……まあ、これかぁ(--;)
と思っていたのが、途中で第二の男が入ってくる辺りから、急に面白くなるん
ですね。どちらも怪しいし……その辺りは、かなり脚本も練られています。

ただ……自分としては、結末を知った時、怒る気力も無くて……脱力感を味わ
いました。それは、途中迄怖がっていたヒロインが急変し……実は、第一の男
の言い分が完璧に正しく……彼女は、この家の当主を殺害し何食わぬ顔で居座
っていた狂人だったと言うオチ。

別にこれでも良いんですよ……但し、この結末にするには、前半のコケオドシ
部分が完全な障害となるんです。誰一人居ない屋敷で彼女が脅えている必要等
見せる必要はありません。ニュースが流れているところに、第一の男が訪問し、
彼女は断る……そこから始めれば良いだけの話。
そうすれば、観客を裏切ること無く……(つまり、彼女は犯罪の露見を恐れて
いるし、”怖がっている”ことを演じている様に見せると言う設定が可能な訳
で、これだったら傑作と成り得たでしょう。そして、電話も、別の見えない部
屋にしておく。鏡などで部屋を見られる設定にしておいて、受話器を持ってい
る彼女が映る設定にすれば良かった……と思うんですね。

誰も居ない部屋で彼女が怖がっている姿を見せたことで全ての前提が崩れている
トンデモ映画になってしまいました。まあ………確信犯なんでしょうが……
もう少し芸が欲しかったというのが正直な感想。

自称「カルト部屋御挨拶係」大倉 里司
(2000年11月5日 東京国際映画祭 シネマプリズムにて鑑賞 渋谷公会堂)

BGM:OST:『デモンズ』

「さ」行で、はじまる映画の感想に戻る

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送