(秘)『カベッサ・デ・バカ』

コロンブスがアメリカ大陸を発見(?)して500年周年に色々と聖林でも、
映画が製作されたが、この『カベッサ・デ・バカ』を観るとカスに思えてくる。
その位「力」がある作品でした。

あと二日で、『メキシコ映画祭』は終わってしまうが、今回のラインナップは
この作品も含めて「知られざる傑作」揃いです。

この物語は実話だそうであるが、それにしても随分と数奇な運命を辿った
男が居たものだ。

物語は1583年にメキシコの密林に漂着した探検隊の一団の一人、財務官
であったカベッサ・デ・バカが先代の呪術師より見込まれて、呪術を見よう見
まねで覚え、遂に呪術師となってしまう過程を描いております。
しかし、皮肉にも先住民族と馴染んだときに、スペインによる大陸侵略が始
まってしまった。と言うお話しです。

この映画の凄い点は、先住民族に拉致された探検隊と先住民族との間に
言語によるコミュニュケーションが存在していないと言う点です。

お互い言葉は発しているのですが、字幕(英語&日本語)に表記されるのは
スペイン語のセリフだけです。
即ち、観客である我々も、主人公と同じ境遇に立たされるわけです。

最初は迫害を受けていた主人公が、呪術を掛けられている内に奥義を習得
し、遂に死人まで蘇らせてしまう描写も全然おかしくないのです。

言語を使えないコミュニュケーションですが、やはりお互い人間ですから、
こき使っている内にも「情」は移るもの。
小人症で両腕が無い、呪術師の使いとの別れのシーンは、言葉を発しない
「さりげない別れ」になっていますが、このシーンは珠玉の出来になっています。

最後に主人公が、黒人の奴隷に語った「俺は真実を語る」この言葉に全ての
真実が含まれています。

「常に歴史は勝者の側しか語られない」と言う事を。

6月20日 18:50『メキシコ映画祭』草月ホールにて

大倉 里司( HCD05016@niftyserve.or.jp)

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