(恥)『英国万歳』

チラシに書かれていた評で「この映画が製作されたことは、その家族にとって
とても不名誉なことであろう」と書いてあったのを読みまして、「毒」が強い、
『リディキュール』の様な映画を想像していたのですが、予想はまるで違い
ました。

この監督であるニコラス・ハイトナーは、実に「真摯」に撮っております。
「不名誉」なのは、「狂った王」ではなく、それを利用し、追い落としを掛ける
「皇太子」の方なんだなと納得。

ですから、今回はマダム・DEEPには、部屋で蟄居して頂いて、僕が書きます。

非常に身につまされる話しなんですよね。実は僕の父も現在「隔離」しており
まして、心情的にはルパート・エヴェレットが演じた皇太子の心境が、僕が
こんな地位にいればやるだろうなと考えていたことなのです。(自爆)

映画的に結構良く出来ている話しだし、マダムが言うところの「宮廷力学」
も書き込めております。

つまりは、病気が全快した暁には「無いことにしてしまう」と言う構図です。
本当に怖いですね。でも、やっている本人にとっては、必死そのもの。(笑)
明日は我が身の世界。暇な人は考えることが無いから陰謀が好きですし、
狭い宮廷に閉じ込められていて、嫌な奴とも付き合わなくてはならないと
したら「毒」が溜まるなぁと思ったりします。

王の方もそれは分かっているのですが、それは辛いところ。(涙)
ヘレン・ミレン様演じる王妃しか、真に自分を愛してくれる者が無いのは
解っていながら、「王室」そして「国家」の為に笑顔を振り撒かなくては
ならない辛さ。

王を演じた、ナイジェル・ホーソーンの映画は初めて観ますが、上手い人
だなぁと感動。
とりわけスープを飲みかけて、イアン・ホルム演じたウィリス医師に吹き
かけるのですが、その時の眼が「死んでいる」のが素晴らしい。

ベン・キングズレー、ケネス・ブラナー、御大アンソニー・ホプキンスを
初めとしたシェイクスピア役者の底力を垣間見た気が致します。

「狂っているかどうかは問題では無い、自分を如何に見詰めるかが問題
だ」とありましたが、このセリフは身につまされました。

今の精神状態に一番のヒーリング効果がある映画となりました。

大倉 里司(HCD05016@nifty-serve.or.jp)

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