(喪)『キサラギ』

B級グラビアアイドルの如月ミキが自殺を遂げて、早1年が経って
いた。今でも彼女を想い、インターネット上のファンサイトで知り
合った5人の男が一周忌追悼会を開くことになった。集まったのは、
サイト管理人の家元(小栗旬さま)、追悼会を企画したオダ・ユージ
(ユースケ・サンタマリアさま)、スネーク(小出恵介さま)、
安男(塚地武雅さま)、イチゴ娘(香川照之さま)。初めて顔を会
せた5人は、ミキの思い出話に花を咲かせ、大いに盛り上がろうと
する。「彼女は、自殺なんかする人じゃない」。如月ミキの明るい
イメージから、そこにいる誰もがそう思っていた。どこか釈然とし
ないやるせなさが最高潮に達した瞬間、誰かが口を開く。
「彼女は殺されたんだ…」
この発言が引き金となり、5人の男たちによる怒涛の推理が始まった! 
この一週間で縁戚の中で最も多く感想がアップされた映画がこれで
して、その原動力は「圧倒的な面白さ」あるんです。何しろ舞台と
なるのはとあるビルの一室と言う限られた空間だけ。この限られた
空間の中で男達の疑心暗鬼、そしてそれぞれが隠し持っていた秘密
が明らかになっていく。一歩間違えれば退屈極まりない代物をこんな
傑作に仕上げたのは、原作&脚本を務めた古沢良太さまと監督の佐藤
祐市さま。そして5人の追悼オフに集まってきた5人の役者さんなん
ですが、群を抜いて香川照之さまが素晴らしい!オフ会ならではの
本人とハンドルネームや書き込みから受ける印象とのギャップをもの
の見事に体現して下さっております。

この映画はシュチュエーションから『12人の怒れる男』と対比され
る事が多いのですが、確かに密室討論劇と言うこともあるんですが、
自分がより近い印象を持ったのは、今年逝去された名匠、熊井啓監督
の傑作『千利休 本覺坊遺文』(1989年)だったりするんです。
両者共に共通するのは、密室で行われる会話劇でして、しかも過去に
亡くなった人(片やアイドル、もう一人は茶道の創始者ですが…(^^;)
の死の謎を追う内に次々と隠されていた秘密が明らかになり、自分が
ミステリーを読む上で最も大切にしている「何があったのか?」そし
て「何故、それをしなくては為らなかったのか?」が鮮烈に浮かび上
がってくる点なんですね。
その意味で自分は、この映画をコメディと言うよりも、悲劇性を帯び
たミステリーとして鑑賞しております。とりわけ、彼女が何故あの場
所で死体となって発見されたのか?に関しては、ついウルッと来てし
まいました。(涙)

最後……と言うか、この映画の最大の欠点は最後にありまして、まず
アイドルであった如月ミキを、最後迄実写で写すべきでは無かったと
言う点と、やはり某大物俳優が絡んでくるのですが「いらんこといい」
(余計な事)を言ってしまうのですねぇ。これが無ければ本当に完璧
な作品だったのにと少々残念であります。とは言え、面白さと言う点
では、現在公開中の『舞妓Haaaan!!!』と双璧を為す面白さ!必見です!

初代「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2007年6月23日ユナイテッドシネマ豊洲にて鑑賞)

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