(闘)『大地と自由』

本日、『大地と自由』を観てまいりました。
それに、スペイン内戦は、ヴィクトール・エリセの『エル・スール』でも
「封印されていた部分」でしたので以前より興味がありました。

僕が以前、酷評した『リベタリアス 自由への道』なんかよりも100倍
素晴らしい出来でした。
人民軍間での内部抗争が克明に描かれ、対フランコの戦いでもあり、
対スターリニズムの戦いである事が、非常に緻密に描かれていたような
気が致します。

しかも、主人公がイギリスから渡ってきた義勇軍兵士の眼を通して描か
れていて、非常に馴染み易い設定になっています。

実際の話、イギリスからも沢山の義勇兵が参加しているのは事実ですし、
1936年に欧州27ヶ国で制定されていた『不干渉委員会』による
『不干渉条約』によって、義勇兵の参加は禁止されていました。
主人公ディビッドが、徒歩でピレネー山脈を越えて、スペインに入った
のは、そうした事情があるからです。

余談ですが、たった一人だけ、「日本人」の義勇兵がいました。
函館あたりの出身の(正確な出生地は不明)ジャック・白井氏でした。
所属は第15国際旅団を編成していたアメリカ人大隊リンカン大隊
兵站部将校付兼炊事兵として参加し、1937年7月11日戦死致しました。
(参考文献 川成 洋薯 『青春のスペイン戦争』 中公新書より)

今回の映画で、ただ一つだけ不満な事を言えば、イギリスから渡って来た
義勇兵と言う形を取るならば、国民軍側に着いた義勇兵の事も取り上げて
欲しかった事です。

僕はファシストでも、コミニュストでも無いが、「国民軍」>「悪」
「人民軍」>「善」と言う構図は、結果的に「勝者が歴史を語る」
ことに他ならないし、フランコが全面的に「悪」だとは、割り切れな
いものですから。
そりゃ、政治家はトータルで評価されるものですが、「善政」の部分
も評価した上で、審判を下すのが、僕の「歴史観」なものですので。

「映画」としては、ヒットしないだろうけれども、そうした見方が
あっても良いのでは無いかと思い発言した次第です。

大倉 里司

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