(罪)『ライセンス・トゥ・キル』

ええっとですねぇ……実に書きにくい映画なんですよ。これから述べることは
自分の性的体験をふんだんに踏まえて書いてますんで、ひょっとすると?なん
ですね。

1997年にサンダンス映画祭で、最優秀ドキュメンタリー賞を受賞し、同年
の米国アカデミー賞でも最優秀ドキュメンタリー賞ノミネート迄残った力作です。
考えてみれば、この年は、外国語映画部門で、『クアトロ・ディアス』が入って
いた位ですから、凄い年だったと思います。

ゲイである監督アーサー・ドン様が、帰り道に背後から暴漢に襲われて、それが
トラウマになってしまった。その克服の為に、彼が一番やりたく無かったこと……。
ゲイ殺しをしてしまった殺人者7人にインタビューをしているのですが、その記
録とテレビ等に出てくる超保守主義者等の映像も絡めて、ゲイ・パッシングとは
何か?を追求しております。

実は、新木場の公園で今年に入ってから、殺人事件が起きましたが、それをも
絡めてのレクチャーも含めて行なわれた上映です。

白状しますと……事件の起きる半年前には、新木場に行ったことがあるのですが、
虫刺されが酷いのと……やはり、前兆みたいなもの(実際には被害は遭っていな
いんですが”場”が極度に悪くなっているのを感じ……そういうのには危険察知
本能が働くんです)で、昼間から夕方行ったきりで足は踏みいれていませんが……
やはりな……と言う感じは受けました。

横道に逸れてしまいましたが……本題の映画ですね。

良く撮ったな……と言うのがあるんです。7人の殺人犯にインタビューですが、
申し込んだのは恐らく倍では利かないでしょう。ゲイであることを向こうも承
知で受けているんですから……許可を得るまでに、受刑者や当局等の間で、言
葉に出せない程の折衝があったことは容易に想像が付きます。

で……未だに彼等も考えは変えていないのが判るのですが、少なくても監督の
アーサー・ドンには「例外」と言うか……心を開いているのが判るんですね。
受刑者の大半は、ごく普通の人間の顔です。善人顔の人も多い……ですが、殺
害現場は悲惨ですし、逮捕当時は「鬼」の顔なんですね。

幾分か時間を経て……考えた人も居るでしょうし、考えなかった人も居るかも知
れない。自分が哀れだなぁ……と思ったのは、クロスと言う受刑者でして、幼い
ときに叔父から犯されているんですね。その時から……彼の中には「自分は既に
男で無い」というものが出てきた。

ホント……嫌なんですよ。少年、少女相手の強姦って……

自分の場合、まあ………ゲイだって気が付いて、葛藤した時期もありますが、
肛門に対しては抵抗がそんなに無いんですけど……世の男性諸氏には、「肛門」
を犯されて「男じゃない!」と絶望してしまう人が多い様ですが……。単なる
排泄器官でしょ?
例えば『アメリカン・ヒストリー・X』のエドワード・ノートンだって、犯さ
れてベッドの上で泣いていたけど、刑務所から出た貴方のほうが、余程「男」
だって、声援してあげたくなりましたもの。

ボーボワールが『第二の性』で、「女は女に生まれるのでは無い、女になるのだ」
と冒頭で宣言していますが、男だってそう。黙っていても「男」には為れません。
肛門に何を入れようが、立派な「男」を沢山知っていますし、入れたからと行っ
て「男」にも「女」にも為るわけでは無い!(断言)要は考え方一つなんですよ。

一番腹立たしかったのが、自分達では、奇麗事を言いながらテレビで大きな顔を
して喋っている「超保守派」の偽善者!

こいつらにだけは、逝ってよし!「地獄に落ちろ」ってね……

自称「カルト部屋御挨拶係」大倉 里司
(2000年7月20日 第9回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭にて鑑賞)

BGM:ミッシェル・ンデゲオチェロ『ファゴット〜レビ記〜』

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