(過)『リトル・チルドレン』

郊外の街に住む主婦サラ(ケイト・ウィンスレット御嬢様)
は、いつも娘を遊ばせに来る公園での主婦付き合いに飽き
飽きしていた。そんなある日、司法試験勉強中の“主夫”
ブラッド(パトリック・ウィルソンさま)が息子と公園に
やってくる。互いの存在に興味を抱いた2人は、子供を
ダシにして市民プールで毎日会うようになる。そんな中、
子供への性犯罪で服役していたロニー(ジャッキー・ア
ール・ヘイリーさま) が釈放され、街に帰ってくる。
ブラッドの友人で元警官のラリー(ノア・エメリッヒさま)
はこれに過敏に反応、ロニーと老母(フィリス・サマーヴ
ィル姐さん)への執拗な嫌がらせを開始するが……。

アメリカの文壇で高評価のトム・ペロッタさまの原作を原
作者と監督のトッド・フィールドが共同で、脚本を執筆し、
今年のアカデミー脚色賞にもノミネートされた本作ですが、
自分には、この映画駄目でした……。
映画の出来が悪いと言う訳では無いんです。映画から出て
くる「純文学臭」が鼻についてどうにもいけません。
主人公のサラは、近所に住む主婦の有志のメンバーで、フ
ローベルの『ボヴァリー夫人』の読書会を開いているので
すが、そこからしてこの古典と郊外に住む有閑主婦の退屈
な日常を重ね合わせようとしているんですが、過剰とも言
えるナレーションと相俟って、嫌味たらしくて仕方があり
ません。

とは言え、出演陣の好演によってこの嫌味が幾分かは軽減
されているんですけれども、どうにもイケナイのはラスト
に至る処理の部分。ヒロインであるサラとブラッドの二人
が何故あのような心理的変化が生まれたのかが全然判らな
いのと、そして、子供への性犯罪者のロニーがこの物語に
絡んでくる必然性がそれほど感じられないのが弱いところ
ですねぇ……。

期待していたんですけれども、見事に外されたかなぁ……。
自分が求めているのは、学者や文藝評論家受けする純文学
では無く、エンターティメントを真っ当しながらも人生へ
の哀歓が感じられる「濃い」物語なんですよ。そうした訳
で自分には御縁が感じられない映画で御座いました。

初代「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2007年8月2日渋谷ル・シネマにて鑑賞)

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