(業)『ライブ・フレッシュ』

皆様、御機嫌如何でせうか?わたくし、マダム・DEEPと申します。

本日、日比谷の映画館シャンテ・シネ2にて上映中の『ライブ・フレ
ッシュ』と言ふ映画を鑑賞して参りました。

この映画の原作は、ルース・レンデル様の『引き攣る肉』(角川文庫刊)
で御座ひまして、レンデル様の原作の映画化では、『ローフィールド館の
惨劇』が過去に2回、『わが眼の悪魔』、『身代わりの樹』がそれぞれ、
一度映画化されております。

原作の特徴は、「人間の心に潜む”闇”」の描写で御座ひまして、レンデル
の加害者が持つ「動機」とは、人間の持つ、些細な心の襞(ヒダ)で御座ひ
まして、それが幾重にも重なり、ほんの偶然的出来事に因つて、それが火
を噴ひて仕舞ふと言ふ構造になつております。

「加害者は一面に置ひて、被害者であり、被害者は些末なことで”害”を
為しており、”善意”と自ら思ひ込んでゐるが故に被害を増幅させる」

打つて変わつて、ペドロ・アルモドバル監督は、西班牙(スペイン)映画界
の中でも『欲望の法則』、『神経衰弱ぎりぎりの女たち』、『アタメ』、
『ハイヒール』と言ふ「問題作」を次々と発表している「異端児」で御座ひ
ます。

その二つの要因が組み合わさつての映画で御座ひますので、わたくしは
「原作とは似て、否なるもの」を考へておりましたが、予想通りでしたわ。(笑)

原作は舞台を倫敦(ロンドン)にしてゐるだけありまして、原作は「氷の
情念」と「悲哀」に満ちてゐるのに対しまして、マドリッドを舞台にした映画
の方は、ラテン系らしく、「炎の情念」と「希望」に満ちております。

だからと言つて、この映画が語るに足りなひものかと言へば、決してさう
では無く、非常に優れておりまして、わたくしは、余韻の余り椅子からしば
らく立ち上がる事が出来ませんでしたの。(涙)

1970年から1996年までのマドリッドを舞台に繰り広げられる5人の
男と女………。一発の銃声さへ無ければ、それぞれの道は決して交錯
する事が無かつた人生。

出演者の皆様が皆様、「色」に溢れておりまして、ビクトルを演じになつた、
リベルト・ラバル様の御顔の可愛ひことと言つたら………(*^^*)ポッ
濃ひ眉毛と、剃り跡も青々しひ顎を見るだけで感じてしまひさうで………。

それと、もふ一人の主役のダビドを御演じになられましたのが、ハビエル・
バルデム様、『ハイヒール』の頃も御姿を拝見しておりましたが、今回の
設定では狙撃され、それに因り下半身不随となり、第二の人生としてバス
ケット・ボウルの選手をしてゐると言ふ設定だけありまして、上半身の筋肉
の付き方には思わず見とれてしまひましたの………(*^^*)ポッ

ヒロインのエレナを御演じになりました、フランチェスカ・ネリ様も良ひので
せうが、何と言ひましてもビクトルの母親的役割を果たす、クララを御演じ
になりましたアンヘラ・モリーナ様の御顔に刻まれた「皺」。
わたくしは、その「皺」こそが、「美しく”品”に溢れてゐる」と言ひきつて
仕舞ひませう。

大倉は兎も角、わたくしの98年度ベスト1候補は、この作品で決まりでせう。

じつくりと、銀幕から発せられる「情念」と「官能」を感じ取つて頂ければ、
わたくしにとりましてこれ以上の喜びは御座ひませんわ。

『裏社交界の徒花』 マダム・DEEP(HCD05016@nifty-serve.or.jp)

「ら」行で、はじまる映画の感想へ戻る

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送