(屑)『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』

う〜む。予告編で十分に期待して観に行ったのですが、予告編だけの方が
100倍楽しめた映画となりました。

と………云うのは、実に良く書けている脚本だと思うし、キャラクターの描
き分けも見事です………スタイリッシュな映像も良い。しかし、この映画に
はまるで欠けているものがあるのです。それは、人間性に対しての「愛」が
まるで感じられず、観て居て実に怒りだけを覚えてしまった程です。

筋書きのほうは、何とか10万ポンドを工面した四人組が賭博の元締めハリ
ーの所に行き、カード賭博で大金をせしめようとするが、実は相手の方が上
手でして、カードの配置を盗み見られてしまう………。その為50万ポンド
と云う法外な借金(実に身につまさせます)(泣)を抱え込んだ四人は何と
かして金を工面しようとするが、ある切っ掛けにより大金の強奪計画を思い
付く………的なクライム・ストーリー。

登場人数が多い割には、話しもしっかりと整理されていて、特に矛盾を感じ
る点はありません。しかし、「整理されている」と言うのが曲者でして、こ
れらの人物が描けているにも係わらず、まるで将棋の駒の様にしか扱ってい
ない監督の視線に歪んだ人間性すら感じてしまいます。

その視線で、この映画を整理すると「誰一人真に幸せな者は居ない」のです
ね。まあ、敢えて言えば取立人の親子コンビがかなり良い味を出してはいる
のですが、それでもラストのセリフに「貸金業でもはじめよう」と言う言葉
に限りない不信感を抱きました。

「親子の間でも金銭は他人」的な諺があり、バーの亭主を務める親と、カー
ド賭博で借金を抱えた息子の間も………どうかなぁ?的な冷淡さしかありま
せんし、キャラクターは立っているものの「信頼関係」が極めて希薄な為、
観ているぼくにとっては何ら心を動かすものはありません。

有るのはただ荒涼とした不信感だけ………それを大英帝国流の歪んだ笑いで
処理しているものですから、益々もって嫌悪感だけが残る結末と為りました。

「犯罪映画」だからこそ、「人間性」に対しての暖かい眼差しが必要だと
ぼくは確信しております。窮地に陥った人間をせせら笑うような視点を持つ
この監督にはただ、怒りだけを感じております。
自分に取っては真正の「屑映画」でした。悪しからず。

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(9月22日シネマライズ渋谷にて鑑賞)

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