(神)『マグノリア』

本日は、「映画の日」でして、11時からの初回から立見(涙)でした。ですが、
そうした悪条件にも係わらず、非常に興奮し、時には涙し、そしてラストには痛
快に笑わせて頂きました。これぞ、大快作\(^0^)/

さて……この映画どこからどう書いて良いのか迷うのでありまして、

1.普段は雨が降らないロサンゼルス近郊を舞台にした話である。
2.主要舞台は24時間に設定されている。
3.12人の人間にはそれぞれ「罪」が用意されている……

ってことでしょうか?

自分にとっては「3」の「罪」の存在……これが非常に大きいのですね。
様々な人間が持つ「罪」と「償い」……それを天候の動向と共に映し出していく
作業とでも申しましょうか?

「罪」って言葉が御嫌いですかぁ……ならば「過ち」では如何かしら。

人間誰しもが犯す「過ち」についての物語。そして、群像劇と為ればロバート・
アルトマン監督の諸作品を思い浮かべる方も多いし、この感想を書く前にも、
多々の方のレビューを目にしましたが、ぼくは……この作品をアルトマンの諸
作品と比べてみても無意味だと考えているのです。

と………言うのは、この『マグノリア』に一貫して出ているのが「神」の存在
ってことなんですね。それも極めて基督教の一番良い部分を抽出した……
「汝の敵を愛せ」為り……「罪無き者、まず石を投げよ」的な部分なんですよ。

長寿番組を誇るテレビ番組の司会者、その立役者たるプロデューサー、現役の
天才少年、それをダシにする父親、元天才少年で、現在は誰にも相手にされな
いうらぶれたセールスマン……そしてそれを取り巻く人々。

中でも一番印象に残る人物が二人出てきまして、一人はプロデューサーの隠し
子(?)で現在はセックス教(?)の伝道師フランク・マッキーを演じている
トム・クルーズ様。そして、あと一人が恐らくカソリックの信者であろう警官
ジム・カーリングを演じたジョン・C・ライリー様なんですね。

この二人……何から何まで対照的に見えながら、実は一つのコインの裏と表の
様な存在でして……ジムは、「神」に全てを委ねようとする存在……一見無骨
そうでありながらも繊細で……全ての登場人物の中では一番迷いが少ない人間
なんですね。それは何故かと申しますと「自分の限界を知っているから」なん
ですよ。

片やトム・クルーズ演じた伝道師、フランクは「ツアツトゥラはかく語りき」
のテーマに乗って登場する位ですから、「自分が神無き後の神」に為ろうとし
ている……が、それと言うのも幼いときに父から棄てられ母と二人で暮らし、
「何者をも信じない」様に自分の人格を形成していったからだと、ぼくは考え
ております。意外にこうした「突撃型」のタイプは弱点がありまして、攻めに
は強いのですが「守り」には弱い。そうした人間の裏表を実に巧みに演じており、
ジェイソン・ロバーツ演じた実の父、アル・パートリッジの死に対して悪態を吐
きながらも、嘆き哀しむ様子には……ふと14歳だった少年の時分の姿すら見え
るような「業」すら感じさせる名演です。

「神」と言うものの存在を置くとくっきりと俯瞰できそうな匂いがするのですね。
とは言え、まだこの映画と接して一度だけですし……かなり「匂う」キャラクター
の作り込みなので、お楽しみはこれからですわ。

二度目、三度目の鑑賞の時に、彼等が違った顔を見せて頂くことを願って筆を置き
ます。(^^)

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司

(2000年3月1日丸の内ルーブルにて鑑賞)

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