(炎)『マイケル☆コリンズ』

実に、この映画を観直すのは3年ぶり、3回目の事となりますが、再見してみ
ても唸るばかりでして、改めてそのクオリティの高さに驚くばかりです。

時は1916年4月24日、アイルランド義勇軍(Irish Republica Brotherhood
=IRB)が、大英帝国からの独立を求めてダブリンで決起した「イースター蜂起」
から映画は、始まります。この中で闘っていた中に、ジェイムズ・コノリー、
パトリック・ピアース等と並んで、後に首相となるエーモン・デヴァエラ、そして
本編の主人公となるマイケル・コリンズがおりました。
映画の方は、このイースター蜂起から、「アイ・英戦争」1921年7月迄の前半と、
現在も未だ尾を引く北アイルランド、アルスター6県の分断によって世論が分断し
内戦へと発展する様子までをキメ細やかに描いております。

主役のマイケル・コリンズを演じたのが、生粋のアイリッシュであるリーアム・
ニーソン様、コリンズの親友であり同時に一人の女性を愛してしまうのがハリー・
ボーランド。これは、アイルランド系アメリカ人のエイダン・クイン様、「革命家の
女」として光り輝く存在のキティ・カーナンを演じたのがジュリア・ロバーツ様、
後の首相となり、「自由国」から「共和国」へと足踏みを進めたエーモン・デヴァ
エラを演じたのが、アラン・リックマン様、そして大英帝国の警察官僚でありながら
も、密かにコリンズを支援しているネッド・ブロイには、スティーヴン・レイ様と
これほど迄に「アイルランド系」の役者を揃えた映画も珍しいのでは無いでしょうか?

コリンズは、確かに「都市ゲリラ」の始祖的な存在であるのですが、それは「戦争を
避けたかった」が為の処置であり、「早いところ引退したい」とかブツクサ言うとこ
ろが、何とも人間臭くて宜しい。(^^)キティ・カーナンも「革命家の女」だけあって、
ホテルの移動等は、一度は抵抗するものの事態を察すると素早く行動するのが目障
りじゃないのですね。(笑)
映画で観ていてもイライラするんですよ……土壇場になって騒ぐ女は……(--;)

この映画の見所は多すぎて挙げにくいのですが……

前編では……テロ活動の残酷であるのですが……何とも端正な出来栄え。集められた
のが20代前半の若者達であり、前編では暗殺を前に祈ったり、良心との葛藤に悩む
場面が多いのです。ですが……後編の内戦状態になると同世代の青年でも、コント
ロールが誰にも利かなくなる「暴走」の怖さが良く出ているのです。

大英帝国と言う最大の敵の存在が無くなり、北アイルランド六県の分離を巡って、
「全島独立派」と「現状維持派」の二つに分かれてしまう様子なのですが、言い分
がどちらとも正しい為観ていて心が痛むものなのです。
往々にして内戦とはこのようなものでして、言い分はお互いに正しく、「戦争」
をしても禍根を残すばかり……なんですよね。

何はともあれ、演出は端正、シネィド・オコナー様の歌唱、デイヴィ・スピラーン
様のイーリアン・パイプの調べ、脇に至るまでの好演&熱演と見所満載の映画です。
愛蘭土関連の資料に当たる前に一度は観ておきたい逸品として強く推奨致します。

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
BGM:OST『マイケル☆コリンズ』

(2000年2月24日 ビデオにて鑑賞)

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