(悔)『Mr.Pのダンシングスシバー』

ベトナム帰還兵の黒人と、ベ平連で活動し、脱走兵救出活動をしていた日本人
女性が結婚し、アメリカに住まいを構えた。しかし、米兵は、夜な夜な「あの
日の悪夢」にうなされ続けていた………。

如何にもサンダンス・フィルムスチュートメントが好きそうな素材ですし、
「移民」に通じるテーマだけに期待していたのですが、観ながらの感想は………
早いところ終わらないかなぁ(泣)でした。

何か話しがチグハグなんですよ。夫婦物だったり、ベトナム帰還兵のトラウマ
物だったり、日系移民の辿った道の様でもあり………。

現代日本人には珍しく、「移民」の問題、「異国居住者」の問題を監督の田代
廣孝様が、これについて真面目に考えていることは判るんです。
ですから………まあ、正直言って悪くは書きたく無いのですが、本当に退屈な
のです。

ロサンゼルスで黒人がスシを握ると言うアイディアは良いのですが、それが中
途半端なエピソードの繋がりでしか描かれていない為、一つ一つの話しの核は
興味深いのですが、一つに纏まらないんですね。

映画のスタイルの問題かも知れませんが………。

と言うのは、断片の繰り返し。確かにこのスタイルで成功した例もあります。
例えば『スモーク』も個々のエピソードを繋げた話し………。ですが………ち
ゃんと『スモーク』には全部を繋げる「クリスマスストーリー」、「大都会の
中の喧騒と孤独、そして癒し」と言う紛れも無い「核」がありました。

今回の映画を分析すると………ブルースとミツコの仲が悪くなってゆくのは、
ベトナム後遺症の為なのか?それとも店が大繁盛してミツコが疎外感を覚えた
のかがハッキリしないし、この二つの点は決して交錯することなく「その侭」
に進んでゆくのです。

「だから何なの?」と自分が嫌いなテーマだったり、興味が無いテーマの場合
は、ハッキリとそう書きますが、なまじっか興味がある問題だけに「勿体無い
なぁ………」なのですね。

『ユキエ』に続いて、「日本より米国への移住者の問題」を扱ったことだけあ
りまして期待していたのですが、ものの見事に外されました。

本当に残念で仕方ありません。

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(10月6日 シネマカリテ3にて鑑賞)

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