(志)『ミステリー・アラスカ』

バート・レイノルズ、ラッセル・クロウ、ロリータ・ダビドビッチ、ハンク・
アザリアと未公開作品にしては豪華なキャスティング……ハテは駄作か?と思
いきやこれが中々良いんですよ。定食屋に行ったら味噌汁と御飯が美味しかっ
た…と言う部分……決して、マグロの赤身を頼んだら大トロが出てきた……と
言うのでは無いので御注意。

ここは地の果て、アラスカ州、ミステリー町(?)ラッセル・クロウ演じる保
安官は、仕事の片手間に町のアイス・ホッケーのリーダーを務めていた。この
僻地を出て単身NYに旅立ったハンク・アザリア様演じたスポーツ・ジャーナ
リストが故郷に錦を飾るべく、スポーツ誌にこの町のアイスホッケーは、「N
FL並のレヴェル」と書き立てたものだからNYのプロ・ホッケーチームから
オフに試合を申し込まれて……と言うそれだけの話。

何が良いかと言えば、この町のチームのキャラクター立ちが良いんです。(^^)
小学校の教師をしながら町長の奥方に手を出していたり……バート・レイノル
ズ様演じた判事は息子と確執があったり……NYから帰省組みのスポーツ・ジ
ャーナリストは町から逃げ出したという劣等感を秘めていたり……そして、彼
と奥方がいちゃ付いているんで面白くないラッセル・クロウ様……

そうなんです……70年代パニック物の前哨戦の部分をスポ根ドラマでやって
しまったと言う部分。こんな小さな町にテレビカメラが持ち込まれ……大型ス
ーパーが進出し……と言う「何処にでもあるドラマ」なんですが………これが
良いんですよ。

一番良いのが……誘致する際にとある人物が死んでしまうのですが……この際
の弔辞が泣かせます……

「息子が言った言葉……”何故この町の人は太っているの?”それに対して私
はこう言った。この町の人は優しさを吸いこんで、それで幸せだから太くなる
んだよ……」

数々の弔辞は小説、映画で読んだり観て参りましたが、ここまでツボに嵌まっ
たのはテリー・ホワイトの『真夜中の相棒』……『旅路の果て』のラストで読
み上げられた弔辞以来なんですね。

何も無い様な町でも住んでいる人それぞれに誇りがあり……夢もあれば希望も
ある。そしてそれが摘み取られていく中で傷を抱えて生きている………そんな
志がキラリと光った佳作です。

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司

(2000年9月20日 ビデオにて鑑賞)

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