来年日本初御目見えの(多分)メキシコの巨匠、アルトゥーロ・リプスタイン
監督の最新作。ぼくも、『黄金の鶏』や『夜の女王』をメキシコ映画祭で見逃
しているので、初めてこの監督の作品に触れることが出来ました。
監督もビッグ・ネームならば、原作者もビッグ・ネームでして、ガルシア=
マルケスなんですよね………。
マルケスの本作は未読なのですが、彼特有の「しつこさ」とか「ねばっこさ」
あと「執念深さ」が驚くほど、映画に出ているので上手いなぁ………と感じる
ことしばし。文芸作品としては、実に忠実に作ってある感じが致しました。
主人公の大佐(フェルナンド・ルハン様)は、退役して妻ローラ(マリサ・パ
レデズ様)と共に、小さな村に暮らしておりました。かつては、息子が居たの
ですけれども、闘鶏の際に一人の女がもとで起きた争い事で命を絶ってしまう。
その女性は、フリア(サルマ・ハエック御嬢様)と言い、自分が原因で愛して
いた彼(息子)を死なせてしまったと言う自責の念から、大佐夫妻に援助を持
ち掛けようとするが………二人は頑として受け付けない。
大佐の生活の頼みの綱は、軍人に支払われる退役恩給だけ………。
支払われることが無いと解っていても、郵便局へ足を運ぶ日々が続くのだった……。
まずは、あらすじを書き出してみたのですが………何か皆頑固そうだったり、
何もそこまで………と思うでしょう?
そうなのですね………本当にしつこい位の描写が続くのですよ。
かと言って、この作品が退屈かと言えば、そうでは無く………息を呑む程感動
するか?と言われれば、それもそうでは無い。
作家の原作を元にした、作家の映画なんですね。ですから、こうした世界が好
きな方は引きずり込まれるでしょうし、そうで無い人には退屈なだけかも知れ
ませんね。そうした意味で、これも「観る人を選ぶ映画」なのですが、ぼくは
と言えば………どちらでも無かったのです。
解る様でもあり………解らない様でもある。ただ、そうした自分とは余り縁の
無い世界を描きながらも、確実に引き込む力はあるんです。
殊に大河を俯瞰で映し出し、悠々と船が寄ってくる………大佐は静かに船着場
に立っている………と言うシーンは、画面構成がキチンとしていて、息を呑む
ばかりですし、大佐夫妻の貧困ぶりも身につまされる話しだったりするのです。
巨匠と言われるだけの力は感じたので、来年公開の『夜の女王』が気になって
参りました。
「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(11月5日第12回東京国際映画祭シネマプリズムにて鑑賞)
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