(家)『母の眠り』

まずこの文章を御読みになる方に申し上げなくては為らないのですが、これから
書くことは、『母の眠り』に対してそう好意的でない感想なんです。

良く纏めては居るんだけど、佳作かなぁ……と言うのが正直なところ。

映画の方は、地方検事(ジェームス・エクハウス様)が、エレン(レニー・ゼ
ルウィガー御嬢様)に尋問をはじめているところからはじまります。そして、
エレンの口から綴られる母ケイト(メリル・ストリープ様)と父ジョージ(ウ
ィリアム・ハート様)との生活が描き出されてゆくと言う展開。

この一種ミステリー・タッチとも言える手法で、「一体何があったのか?」が
徐々に明らかにされていくのは興味深いと思いますが……父は大学の学部長で
母もそれ相応の教養を持った女性、娘もNY在住のバリバリのキャリア志向の
御嬢様……そんな傍から観ていて「羨ましい」と思えるような設定で、ぼくが
感情移入しろと言うのは土台無理な話。

自分にとって、一番感情移入しやすいのが長男でエレンの弟のブライアン(ト
ム・エベレット・スコット様)でして、彼は一種の「落ちこぼれ」的な存在な
んですね。大学を落第し……テニス部も追放になったと言う彼の存在をもう少
し大きく描いてくれたら少しは嵌まり度合いが高まったと思うんですが……。

家庭円満の様に見えても、目に見えない棘があるんだよ……と言いたいのは判
るのですが、自分の場合、両親が仲が良かったと感じる場面を一度も見たこと
が無いんですね……浮気の疑いが掛けられた父ジョージにしても、これだけや
ってくれたらぼくに取っては理想の父親ですよ。

だから、こうした家庭があるのは判るんですが……終始、それがどうかしたの?
と言うやっかみに満ちた視線でしか判断することが出来ないんですね。

母と娘の確執でしたら『黙秘』の方が、ずっと奥深い人間の心の闇を突いてい
たし、老人介護の問題にしても、そうだよな……的な部分を秘めていたんです
ね。

この映画に関しては、ぼくがこれ以上言っても無駄でしょう……

以下の御二人の感想を読まれることを御勧め致します。

15歳の天才少女ADU御嬢様Fifteen HoursOne Tule Thingのコーナー

平成のネット映画伝道師夫馬信一様のDay For Night極私的「母の眠り」論

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(12月15日 日比谷シャンテシネ1にて鑑賞)

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