(局)『大奥』

時は正徳2年(西暦1712年)、第7代将軍・家継の時代。将軍
と呼ぶにはあまりにも幼い、齢4つの将軍をめぐって、江戸城で
は表裏舞台が蠢いていた……。
第六代将軍・家宣に取り立てられ、幼将軍・家継の後見人となっ
た側用人・間部詮房(及川光博さま)。能役者から、幕府の実権
を握る摂政の地位にまで登りつめた間部を快く思わない、秋元喬
知(柳葉敏郎さま)をはじめとする老中たちとの醜い幕閣の権力
争いが表面化する中、大奥でも、女の意地をかけた熾烈な闘いが
繰り広げられていた。
先代将軍の正室でありながら、生まれた男児が早世し、将軍の生
母になれなかった天英院(高島礼子姐さん)。かたや、家宣の側
室から将軍の生母となった、若く美しい月光院(井川遥御嬢様)。
天英院派対月光院派、女達の嫉妬と憧憬が渦巻く大奥で、34歳と
言う若さで大奥総取締に昇格した絵島(仲間由紀恵御嬢様)は、
月光院に降りかかる敵意と中傷の嵐から彼女を守るべく、身を挺
して奮闘していた。江戸の町人育ちであったが聡明な絵島は、月光
院の信頼も厚く、大奥女中の間でも人気を集めるに至ったが、それ
は対立する天英院の不満とストレスの矛先へと変わっていった……。

大奥最大のスキャンダルと言われた「生島絵島事件」の完全映画化
と言う触れ込みですが、西島秀俊さま演じた生島新五郎が、不義
密通の罪で磔の刑になったのでは無く……実際は三宅島に島流しに
されたのでありますが、まあ悲恋物としてみれば良しと言う事で
目を瞑りましょう。

ただねぇ……どうしようも無く演出と美術がだらしないところが
あるんですねぇ。テレビ版の延長として観ていても山村座が火事
になって大騒ぎになっている道を何本か隔てた処では平然と踊り
をしていられるの?!火事となれば、祭りは直ちに中止でしょう
が……全然リアリティに欠ける描写でガッカリ。
そして、美術面で言わせて頂ければ、扇子がまるで駄目!天英院
と言えば近衛家から出てきた名門中の名門。パッと見にも「安い」
と判ってしまう金地に牡丹の花を彩った扇子を持っていてもねぇ。
溜息が出てしまうような絢爛豪華さが無いんですかねぇ……。
それと、女性陣は床山の技術が発達している様で見分けが付き難い
のですが、男性陣は殆どズラだと判ってしまうのは情けない。

さて、文句はこれ位にして、絵島と生島との関係が、『危険な関係』
のヴァルモンとトゥルベール夫人との最初は、男が計算づくで近づ
いていくものの、女はこれを拒絶。偽りだった愛が次第に本心とな
っていく様は定番とは言え、中々上手い作り方です。そして、お約
束事の一つでもある「女同士の陰湿なイジメ」もちゃんと盛り込ま
れておりますが、やはりテレビの延長線と言う感じが拭えないのが
痛いところかなぁ……。
どこか一つ「映画」と思える箇所を作ってくれたらと思うのですが
無いものねだりなんでしょうねぇ……。

初代「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2006年1月1日ワーナーマイカルシネマズ市川妙典にて鑑賞)

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