(空)『パール・ハーバー』

陸軍航空隊の若きパイロット、レイフ(ベン・アフレックさま)とダニー
(ジョッシュ・ハートネットさま)は、幼い頃から兄弟同然に育ち、固い
友情の絆で結ばれていた。やがて二人は、美しき看護婦イヴリン
(ケイト・ベッキンセール御嬢様)と巡り合う。だが、輝きに満ちた
青春の日々は戦争の嵐に巻き込まれていくのでありました♪

叩けば叩くほどに「誇り」ならぬ……「埃」が『アルマゲドン』の小隕石
の如く大都市に向かって降り注ぐ御都合主義を今から、60年前の
日米関係に置き換え、ベイちゃんが『タイタニック』で観て学んだ、
キャメロン仕込みの大甘のアイス・キャンディでリピーターを狙い、
スピちゃんの『プライベート・ライアン』で観て驚き!
今度使ってやろうと狙った水中射撃をわざわざ大仰に拵え、閑古鳥
が鳴いている真珠湾テーマパークのなれの果て……

脚本のランダル・ウォレス様が手直ししたプロットは、それそのまま
「普通に」映画にすれば、「傑作」には為らないでしょうが……少なく
とも「駄作」には為らなかったでしょう。精々「凡作」で留まっていた筈。

「映像」を抜きにすれば……ありきたりの「大河浪漫”風”恋愛悲喜劇」
なんですよん。

マイケル・ベイと言う人……『バッド・ボーイズ』はそんなに悪く無か
ったけれども………あとは下り坂。頂点に達したのは、極私的極悪
非道無神経罵詈雑言の外道映画『アルマゲドン』なんですねぇ……
1999年の元旦に超満員の新宿プラザで観たときは、マジで拷問か
と思いました……

とにかく「間合い」が全然判っていない上に、不必要なアップが多い、
カメラは揺れる……音は派手……中身スカスカ……押し付けがましい
無神経さ……(--;)『タイタニック』で罵詈雑言モードを放ちましたが、
これに比べれば……あの馬鹿女ローズ(懐)は人間国宝に思える程、
映画本編は世界遺産に認定すべきです(笑)

で……『アルマゲドン』に比べると00000000000000000.1程度
の進化が見られます。

全般的に目茶苦茶なんですが、脚本が悪いんではなく全て「演出」が
悪い……才能が無いって哀しいですねぇ……(涙)

まずはオープニングです。二人の少年が仲良く遊んでいる内に飛行
機を動かしてしまい……それがその後の二人の運命を決めた……
まあ………好みですねぇ。そしてダニーの父親も中々良い感じで退場
していくのですが……ただねぇ……「広がりが無い」んですよ……

この人の映画で映像で「広がり」を感じたことは皆無でして、ゲーセン
でのTV画面を大きくした感じしか持たないんですねぇ。

そして……次のシーンでは、青年になった二人と看護婦たちの出合い
(どーでも良いことですが、プレイボーイ誌のピンナップ・ガール総出演的
な色香(笑))

まあ………イロイロあって、ベン・アフレックさまは、ヒロインと4回のキス
をするんだけど寝ない(笑)<余りにもヒマだったんでキスの回数を数えて
いました。(^^;;

で……そのベン・アフレックさまが、英国空軍に出向になり、独逸軍と
派手な撃ち合い(これは数少ない名シーン)で………まあ、MIA扱いに
なってしまい………誰もが死んだなぁ………と観客を除いては、そう思
っているんです♪(ハイッ)

それで、据膳食わぬは………ってことで、薔薇の蕾に群がるは蜜蜂。
ロイヤルゼリーを彼女の身体に抽入するは、アフレックの親友のジョッ
シュ君………パラシュートの上でのおしげりは……『心の地図』からの
パクリでしょうか?(--;)<比較に為らぬほどの名シーンです>『心の地図』

観客が欠伸をしだしたのを見計らって、やってくるは日本帝国海軍♪
伊達に褌一丁で海上演習をしていた訳ではありません!(笑)
まあ………撃つ撃つ………この頃は日本軍優位だったもので打ち止め
なんてセコイことはしませんねぇー。バブル絶頂のジュリアナ東京のお立
ち台の如く華やか♪羽根扇持って逃げるギャルが居ないのが不思議。
でも……逃げ惑う女御は皆派手………婆さんが居ないのは何故?

真珠湾攻撃で立ち向かう独りの黒人炊事兵………彼が後々勲章を貰
ったとかで……ふーんと思って、紅茶をグビッ。ボクシングの相方のマッ
チョなお兄さんがタイプよーん。と暇だからそう思っている。

奇襲なんで病院は超満員………で……珍しくここが良いんですねぇ。
カミソリを持って点滴用チューブを切断するヒロイン………窓から離れて!
と叫ぶ姿は、パニック映画マニヤとして、思わず萌え(*^^*)ポッ
ただねぇ………病院に入ってくる傷病者がゾンビの出来損ないメイクなの
にはロメロ&トム・サビーニ先生はガッカリすると思いますよん。

で……どこからか湧いてきた御奇麗な制服組の軍人さんがジープで登場。
阪神淡路大震災の神戸を彷彿とさせますねぇ………(合掌)

甘く考えていたルーズベルト大統領(ジョン・ヴォイトさま)は、阪神ならぬ
半身付随にも係わらずスックと立ちあがり宣戦布告………世に名高い
「不名誉演説」それに靡いて上下両院全開一致の採択……ただ独りだけ
参戦反対を唱えた議員が居たのはアッサリと無視。そして……この日は
大統領支持だったんですが、次の日からは相も変わらず野党からの火の
玉攻撃(史実!)

まあ……それは置いておいても、FDR関連は、史実に忠実に描いてい
ます。流石に大物!

史実とは、大分離れますが、ドウリッートル中佐(アレック・ボールドウィン
さま)率いる日本攻撃隊が、船上で「対米宣伝放送」を傍受したシーン。
これは最高に評価しているんです。

この空襲は1942年3月の出来事ですが……「対米宣伝放送」(ゼロ・
アワー)が放送を開始したのは翌年の43年3月1日の出来事。
で……映画の中で「太平洋の孤児」………「アニー」と言う言葉が出てき
たのですが……これは、当時13人居た女性アナウンサーなんですねぇ。
そのうちの独りが……開戦直前に日本に来てしまい………帰るに帰れ
なくなり……戦後「米国籍」を持つが故に、東京ローズとしてスケープ・
ゴートとされた、故アイバ・戸栗・ダキノさまだったのですよ……(涙)

自分は寡聞にして、この「ゼロ・アワー」の放送シーンを観たことが在りま
せん。史実を歪めている……と言うよりは、「ほんの僅かですが……光を
当てた」のかなぁ……と思っています。

今回のように、戦争スペクタルを撮るのも良いのですが、是非一度「戦時
放送」に真正面から光を当て、「歴史の悲劇」(故、松本清張談)となった
アイバ・トグリ・ダキノさまの映画を作って頂く機会を願って止みません。

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2001年7月16日 ワーナー・マイカルシネマズ・市川妙典 スクリーン6にて鑑賞)

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