(甘)『鉄道員』

北海道のローカル線の最終駅である幌舞駅の駅長佐藤 乙松は定年を間近に控え
た身……。路線の廃止とほぼ同時に彼の鉄道員としての人生も幕を閉じようと
していた。彼の脳裏には……愛する妻、幼くして亡くした娘……かっての同僚
等の想い出が過ぎってゆく……。

原作は浅田 次郎様のベストセラー小説……彼の小説は不覚にも読んでおりませ
んでしたが、この「筋運び」を見る限り本当に熟達したプロの書き手だなぁ……
と感じるところはあります。

それと……撮影監督の木村 大作様の見事な迄のカメラワーク。本当に最初から
引き込まれます。

ですが……良いのはこの2点だけ……あとは、総てダメになってしまった悲運
の映画がこの『鉄道員』なのです。



(炸裂の罵詈雑言モード)



(御好きな方は読まない方が無難です)m(_ _)m




何と言っても筋立ては本当に良いのですよ……薄々展開は読めるけど……でも
ねぇ……演技と間合いと言うか、演出で総て台無しにさせてしまっているので
す。非常に勿体無いよ……。何なのこの甘ったるさは?
御汁粉に黒砂糖をまぶしたかのような胸焼けがしそうな感じ。

総ての芝居が浮いているし……間合いが最悪。これは一重に、高倉 健主演!
ってことで売ろうとしているんだけど……彼と他の人間との芝居がまるで釣り
合いが取れて居ない侭……適当に甘ったるい「泣かせ」の部分で誤魔化そうと
している根性が下品!
小説でこれを読む分には、それぞれのイメージで読めるんだろうけど……映画
でこれを見せられたら……ぼくにとって苦痛以外の何者でも無し……

はいはい……高度経済成長の部分を支えてきた陰の功労者であることは認めま
しょう……でも、こんな事で良いのですか?
奥様も、我が娘もこぞって……「君は悪くない」の一点張り。
この映画には……「悪」が欠如しているまま「哀しみ」に突入していいるんで
すよ。それが無いが為に……非常にドラマとして薄っぺらいまま……何の教訓
も……反省も残すことなく……あれれ……って感じで終わってしまう。

しかもラストは予想出来たけど……ホームで倒れている彼の姿で〆るべきでし
たね。最後の小林稔侍様の顔を観た時に、好い加減にしろ!と怒鳴りこみたく
なったのは、ぼくだけでしょうか?

日本版『ジェイコブス・ラダー』にしても(実は、『ジェイコブス・ラダー』
も大嫌いな映画ですが)甘すぎ……本家がグッと傑作に見えてきます。

まあ、何だかんだと言っても、奈良岡 朋子様演じた、だるま食堂の女将が吐く
セリフ……

「あたしには、日の丸も、赤旗も関係無いんだよ! あたしは呑み屋の旗を立
ててやる!」\(^0^)/だけは、グッと来ました。(泣)

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司(HCD05016@nifty.ne.jp)
(7月1日ワーナー・マイカル・シネマズ市川妙典2にて鑑賞)

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