(叫)『クアトロ・ディアス』(2回目)

「ラテンアメリカ・スタディーズ」初日の2本目が、この『クアトロ・ディアス』
でして、レクチャーをして下さったのがジャーナリストの伊高浩昭様。
このアメリカ大使誘拐事件を契機に数々の外交関係者誘拐事件が発生したこと…
その話しと相俟って、ラストシーンでの衝撃は、二回目であれどまるで色褪せず、
逆に生々しい「魂の叫び」が聞こえてくる様なものがありました。

映画についての内容の紹介は、一回目に書いたので省略します。

二度目観直してみて感じたことは、非常に音入れも含めた編集が上手いという事
です。とりわけ銀行強盗のシーンや、フェルナンダ・モンテネグロ様が特別出演
された大使誘拐の現場のシーンは、一瞬でも「間」を外しては成立しない位の凄
まじさがあります。

後半に向けての伏線もキチンと確認出来て、上手いなぁ……と膝を叩くばかり。
非常に丁寧に作られているんですね。技術的なことも含めてですが、事件後30年、
民政後20年を経過して初めて明かされる「悲痛な叫び」がこの映画を大変に力
強いものにしております。

石に書き付けても描きたいという「想い」が画面の隅々まで行き渡っており、中
流家庭の子息であった彼等、スペイン市民革命の闘士、秘密警察に従属する者、
捕らえられた大使、そしてその妻……それぞれの立場が短い描写ながらも描き込
まれているし、権力=悪と言う一面的な描き方をしていないんですね。

前回も書きましたが、エンリケと言う男が居りまして、彼は秘密警察に属してお
ります。テレビで大使誘拐のニュースが流れると恋人の前で着替えはじめるので
すが……彼女に問い詰められて答える表情が実に凄い………「そうだ、俺は襟章
が欲しい」と歪んだ笑いを浮かべながらも、「だったら、何故不眠症になるの…」
と問い詰められる。

苦しくなる位の悲痛な場面です………捕えられた大使もまた、ラテンアメリカに
おける米国の横暴な支配に対しての問いで「慎重に訳してくれ………個人的見解
だが………独裁政権、軍事政権による支配は、民衆の憎しみを買うばかりで長続
きしない」と語っておりまして、その通り!と思った次第なんですね。そして大
使の妻も、彼が送った手紙に接吻をするだけで長年連れ添った夫婦の絆が痛いほ
ど伝わってくるんです。

71年の西ドイツ大使誘拐事件の交換条件として、やっと彼等が再会することが
出来たのですが………この場面は、二回目でも息が出来ない程の苦しさを覚えます。

対象は何であれ、何かを倒そうと闘った人には、この感情が解って頂けると信じ
ております………。

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(11月20日 ラテンアメリカ・スタディーズ 草月ホールにて鑑賞)

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