(品)『QUEEN VICTIORA〜至上の恋』

皆様、御機嫌如何でせうか?わたくし、マダム・DEEPと申します。
昨日は、神無月の弐拾四日より始まりました「英国映画祭」の三日目、
わたくしに取りまして嬉しひ作品と出会へましたの。

『QUEEN VICTORIA 至上の恋』ですわ。

1860年代に夫であるアルバアト公に先立たれ、寡婦の身になつて
しまつたヴイクトリア女王の前に、一人の殿方が現れますの。
その殿方の名は、ジヨン・ブラウン………。
やがて、その殿方と女王の間で秘めやかに、そして「恋」と言ふには
余りにも切なひ心の軌跡が実に丹念に織りこまれ、移ろひゆく季節と
共にそれぞれの胸に去来する感情と抑制の攻めぎあひ。

端正に撮られた映像からは、高貴とも言へる香りすら漂ふものでせうし、
揺れ動く心の綾から発せられる「言葉」は正に魂の叫び………。

何と申しましても、この役で米英アカデミイ主演女優賞にノミネヱト&
受賞された、ジユデイ・デンチ様の演技が正に白眉の出来。

彼女が動くだけで、その場の空気が一瞬にして変わつて仕舞ふのは
流石と言へるでせう。

相手方を演じた、ビリイ・コノリイ様は、元々コメデイアンださうでせうが、
「気合」を入れて実にスコツトランドの「殿方」の持つ「誇り」と「品」を十
二分に出して頂きました。

イングランドのみならず、スコツトランドの高地に迄赴ひたカメラワアク
も実に素晴らしく、室内にさり気なく置かれたウヱツジ・ウツドの陶磁器
の素晴らしさに眼を奪われましたの。

クイインズ・プレインの御茶器、召し使ひの食卓に置かれた水差しの
艶、宮殿に置かれた古伊万里の壷。どれを取つてみても素晴らしひ
物ばかりでした………(*^^*)(うつとり)

最後のシインは「宮廷力学」の残酷さを実に鮮やかに描き出したものと
して『リデイキユウル』をも凌ぐ出来栄えで御座ひましたし、見事な迄に
「英国人」の欺瞞性を暴き出してゐただきましたもの。

傑作『日の名残り』をも彷彿とさせる98年度「別枠」ベスト1候補に入れ
させて頂きますわ。

古美術、英国史に興味の或るお方で御座ひましたら、必見の一本で
御座ひます。

『裏社交界の徒花』 マダム・DEEP(HCD05016@nifty.ne.jp)

BGM:OST:『Mrs Brown』より『Queen Victoria And John Brown』

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