皆様、御機嫌如何でせうか?先日終了致しました東京国際映画祭
にて素晴らしひ作品と巡り合ふことができましたの。
………その名は『レッド・ヴァイオリン』
映画がはじまりまして、薄つすらと映るヴァイオリン製造工房……
時代は1681年。伊太利亜のマヱストロであつたニコラは、愛する
妻が初の出産をする為に心穏やかでは御座ひませんでした………。
しかし、運命と言ふものは残酷なものでせう………心臓が悪く
出産が危ぶまれてゐた妻アンナは、難産が祟つて死去、幼子も死産
ニコラは生まれてくる子供の為に作つたヴァイオリンに「魂」を吹き
込む事を致します………。
時代と共に変遷する一挺の「レッド・ヴァイオリン」が辿る数奇な運命
とは………。
そのヴァイオリンが持ち主を変遷して、時は流れ一人目のパアトは
仏蘭西革命が終わつた辺りの19世紀初頭辺りでせうか………
一人の少年が伊太利亜の修道院に入り、類希なる才能を開花させ
ます。実際に弾ゐてゐるこの少年の「指使ひ」の華麗で優美なこと
………(*^^*)ポッ
二人目のパアトは、そのヴァイオリンがヴィクトリア朝の倫敦の元に
渡り天才的音楽家フレデリック(ジェイソン・フレミング)が奏でる背徳
とその代償の物語り………。
三人目は、中国からの「移民」が上海に持ち帰つた事から始まり
ます。丁度この頃は、美国等に中国系移民が移つた時期ですし、
その「時代考証」には、しばし唸らされましたのよ。
そして母親が買い求めたヴァイオリンを娘に譲り、清国から中華民国
そして中華人民共和国に移り「文革」の嵐に翻弄されてしまひます。
「文革」だけでは無ひのでせうが、「本を焼く者はやがて人を焼くことに
なるでせう」と言ふ言葉通り凄惨を極めるのでせうが、此処は「思想」
を語る場では御座ひませんので、これ以降は「自粛」致しますわね。(^^ゞ
わたくしは、党の幹部に為りながらも、「音楽」を捨て切れずに、
かつての「仲間」であり、その当時「反革命分子」とされた音楽家に
そのヴァイオリンを託すところに思わず涙が出て参りましたの。
時代は過ぎ、建設ラッシュに追われる現代中国………このシインで
も「時の流れ」を感じて仕舞ひまたまた涙が………。
その託した相手が一人寂しく死に、遺されたのは部屋に置ひてあつ
た大量のヴァイオリン(涙)
中国政府はそれを競売に掛けるのでせうが………そのヴァイオリン
は果たして誰の手に落ちるのでせうか………。(謎)
そふなのです。これは、300年の「時の流れ」を背景にした「大河
ゴシック浪漫」で御座ひます。
クラッシック音楽を愛する方、古美術に関心の或る方、そして
「大河ロマンを愛する」皆様には是非とも観て頂きたい一本ですわ。
冒頭の真紅の背景に白文字で英語、仏蘭西語、伊太利亜語、中国語
にて「レッド・ヴァイオリン』と表記される処からお話の中に没入致しま
したの。これこそ「官能」を感じましてよ。(*^^*)ポッ
『裏社交界の徒花』 マダム・DEEP(HCD05016@nifty.ne.jp)
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