(喜)『リーサル・ウエポン4』

昨日、『リーサル・ウェポン4』を観て参りました。

このシリーズは、『リーサル・ウェポン』(87年)からのお付き合いになる
のですが、僕も歳を取ったし、彼等もまた歳を取っているなぁと微笑ましく
なりました。このシリーズの中では、一作目に次いで好きな作品です。


(映画の内容に触れております。ご注意)


この映画を見始めて段々と思ったのですが、「円環」が閉じられようとして
いると感じましたし、事実上、このシリーズは終焉でしょう。お疲れ様でした。
個人的には、シリーズが続いて、リッグスとマータフが段々と出世して行き、
とある事件を切っ掛けに対立を深め………やがて………(^^ゞ
と言う、『L.A.コンフィデンシャル』を初めとする、エルロイ的な展開
も有りかなぁ………(爆)って期待していたのですが。(笑)

そして、孫子の代にまで、怨恨は後を惹き………(実に暗〜いけれども、
こちらの方も好きなんですねぇ)

と、妄想モードは置いて置いてっと………。

僕が非常に感心したことがありまして、それはこの映画がアクション・コメ
ディの形式を借りながら、「移民」の問題にメスを入れていることだと感じ
ました。

一見すると、この映画の中ではジェット・リーこと、李連杰様の設定が
単なる悪役に終わっていたと感じる方もいらっしゃるでしょうが、現在の
聖林映画の中では破格の扱いです。
英語のセリフを一切使わせず、数少ない台詞を広東語で喋らせて、言わ
ば「顔役的」な感じを濃密に出していたと思いました。

『ブラック・レイン』の時の、小野みゆき様の使い方もそうなのですが、
台詞を喋らせないことに因って「光る」設定があるのです。

この映画では、全てのエピソードが「終着点」に向けて動いておりますが、
ラストに示される愛児誕生のエピソードと同じ意味で、ハリウッド・スター
ジェット・リーを誕生させて、言わば次の世代に受け渡し、後は任せたぜ、
的な「愛」を感じるのです。(^^)(^^)(^^)

さて、「移民」の問題に話しを戻しますが、映画の導入部分で中国密航者
を乗せた貨物船が出てきます。

その救命ボートに乗っていた一家族を、アフリカ系アメリカ人であるマー
タフが観るに見かねて自分の家に匿うのですが、台詞にもありましたが
かつては阿弗利加大陸から強制連行されてきた先祖を持つ身なのです。

ワイワイガヤガヤと煩く付き纏う、レオ・ゲッツ(ジョー・ペシ)にしても、
ユダヤ系の設定ですし、映画の中で拝見する限り敬謙なユダヤ教徒と
言う設定です。(コップの件は笑いましたが)(^^)

マーティン・リッグス(メル・ギブソン)は何系か判りませんが、人種的な
痛みは持って居ない代わりに、愛する妻を失ってしまったと言う「喪失
体験」を持った身です。

そうした「痛み」を知っている面子が、敢えて明るく振る舞っている内に
本当にネアカになってしまった(^^ゞ

これが、このシリーズの流れだと思うのですが………。

この映画では、シリアスにやろうと思えばやれるところを敢えて、ギャグ
をかまして、彼等の心の痛みと、癒しを実に鮮やかに描いてくれました。

と、言うことで、何かシミジミしながら画面に見入ってしまいました。


余談

中国系を初めとしてアジア系アメリカ人の移民問題は、現在に始まった
ことでは無く、1850年代から労働力として中国人が大陸横断鉄道の
建設などでカルフォルニア州を初めとして導入されておりました。
低賃金で良く働くのが裏目に出て、白人労働者を脅かしただけでは
無く、独自の生活態度(弁髪その他)を守り、チャイナ・タウンを作って
阿片や、賭博を止めようとしなかったことに目を付けた労働団体の
圧力があり、1886年に中国人移民禁止令が発動されます。
その代用として用いられたのが日本人ですが………。

この問題に関しては、ドウス 昌代様の『日本の陰謀』(文春文庫刊)
を御読みになることを強く推奨させて頂きます。

「大河ロマンを愛する会」 大倉 里司(HCD05016@nifty-serve.or.jp)

BGM:OST『わが心のボルティモア』
BGM:OST『ミュージック・ボックス』
BGM:OST『ジョイ・ラック・クラブ』

「ら」行で、はじまる映画の感想に戻る

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送