(塵)『サルサ!』

みなさま御機嫌如何でせうか?わたくし、マダム・DEEPと申します。

キューバに憧れた若き天才ピアニスト、レミ(ヴァンサン・ルクールさま)は、
ショパンも輝かしひ未来もお捨てになり、サルサの世界に飛び込まれます。
レミさまの夢は、キューバ人のみなさまの楽団で心から音楽を楽しんでピアノ
を弾くことでしたの。しかし仏蘭西人のレミさまは、楽団のみなさまに「サル
サは、黒人ぢやなきや駄目でせう(きつぱり)」と門前払いをくらふのでせう。
一計を案ぢたレミさまは、御肌と髪の色を変へ、源氏名を「モンゴ」と名乗られ、
身も心もキューバ人になりきらふとされておりました。サルサのレッスンで出会
つた巴里出身のナタリー御嬢様(クリスティアンヌ・グゥ御嬢様)は、愚かしく
もキューバ人モンゴに恋をしてしまふ。ステップを踏む度に魅力的な女性に変身
し、身体の芯から光り輝ひてゐくナタリーにレミさまも夢中になり、ふたりは誰
もが憧れる存在になるのでせうが……。

 

 

(究極の罵倒の嵐ですわよ!覚悟は宜しひでせうか?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まづ脚本と演出を除ひては、ほぼ完璧な出来栄へであることは認めてあげなくて
は為らなひでせう。住んでゐる人々に応ぢた室内装飾、「舞ひ」をしてゐて絹
のささやきが聞こへてきそふなお召しものの色合と切り込み。ヴァンサン・ルク
ールさまも最初のピアノの演奏シインでは、御免あそばせ……ホホホ。でしたの
に御肌を褐色にし、髪型をすつきりとさせたら見事に「色」が漂ふ殿御に御成り
で嬉しひことでせう。四十年の歳月を経て巡り会ふカトリーヌ・サミー御嬢様と
エステバン・ソクラテス・コバス・プエンテさまも素晴らしひ(但し、屑脚本の
せひで台無しに)

何が駄目かと申しますと、壱にも弐にも「愚作」の脚本……余りの安直さに失神
するかと思ひましたの。(わらひ)
四十年を越へた悲恋……それはそれで名シインでせふ。但し、御二人の演技と、
室内装飾と撮影技術の賜物で御座ひまして、ジョイス・シャルマン・ブニュエル
とやうこの映画の監督と脚本を書ひた「馬鹿女」のものでは無ひですわね。(きつぱり)

それが証拠に……御二人が出会つて、ぢつは御父上がキューバの血を引ひてゐた
などとやう失笑極まりなひ展開は、正に犯罪的なので御座ひます。(うんざり)
胡散臭く、醜悪極まりなひ筋運び……「舞ひ」のシインすら疎かにしてキューバ
ロケとはおめでたひことこの上なひですわ。

そして、この映画にはもふ一つの致命傷があるので御座ひます。折角の良ひ音楽
を遣ひながら「舞ひ」のシインがまるで学芸会レヴェル。(あくび)
「群舞」の場合、御一組だけがスポットライトを浴びて……では駄目なのでせふ。
廻りも「同等」に激しく、華麗に「舞ひ」をさせてこそ「光」と「華」が出るの
で御座ひます。(きつぱり)ところが、今回は一組だけ「舞ひ」をさせて、廻り
にはアップすら当てなひ……「舞踏会」といへば、どふ考へてもこの映画の「華」
で無くては為らなひのにそれを疎かにしてゐることに「馬鹿ぢやなひのこの女は!」
と画面を見つづけて呆れ果て、うんざりし……気を失ひかけたほどで御座ひますの。

わたくしには、かうした映画は、出来も悪ひ単に屑映画として蒼穹の彼方へと
飛ばしてしまひたひもので御座ひますわ……。(うんざり)

「裏社交界の徒花」 マダム・DEEP
(2001年3月25日 ビデオにて苦行)

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