(血)『サングラドール』

「ラテンアメリカ映画小特集」で最後に観たのが、この『サングラドール』でして、
今回の特集で一番期待していた作品なのです。

御話のほうは、今世紀初頭(20世紀の事ですよ……)アンデスの山中で繰り
広げられる『マクベス』なんです。国王がコーヒー園の領主と為り、中々皮肉
が利いている翻案だなぁ……と感心致しました。今回は、上映時間が90分と
言うことも手伝って、非常に分かりやすいんですね……マトモにやったら2時
間30分掛かる話だと言うのは前回判りましたから……。

例に因りまして3人の魔女が出てきて、将軍のマクベス為らぬ、マキシミリア
ーノ(ダニエル・アルバラド様)に「お前が次の王になる……」と予言されて
仕舞ったことから、妻(カリーナ・ゴメス様)に唆されて、コーヒー農場主を
殺し……見張りをしていた二人に濡れ衣を着せて殺害……。だが……歯車が徐
々に狂い出す………。

この歯車が徐々に狂い出す場面をどう見せるか?或いはマクベス夫人のキャラ
クター造形をどう作るかが、古今東西の演出家の頭を悩ませていたのですが……。
今回の『サングラドール』では、奥方は妖婦的ですね……。3人の魔女よりも
怖い(笑)出番が中々凝っておりまして、蘭科の花を敷き詰めたベッドで寝てい
るんですから……

今回の面白さは、奥方がリードして次第に壊れていく様……そして、マキシミ
リアーノが、段々と野生味を帯びてくるところでしょうか……怖がってはいる
のですが、やっぱり強いんです。

イメージとして、エイゼンシュタインの『メキシコ万歳』から抜き出してきた
様な魔術的な如何わしさが漂っており、奥方が血で汚れた手を洗おうともがく
時の道具立てが絶品!!!!

話は判り切っているんで……白黒で彩られた血のイメージを楽しむ作品です。

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2000年11月2日 東京国際映画祭 シネマプリズムにて鑑賞 渋東シネタワー3)

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