(覇)『始皇帝暗殺』

陳凱歌(チェン・カイコー)監督による『始皇帝暗殺』を拝見致しました。

僕は「覇権」と言うものが大嫌いな性格なのですが、これを観ると自分の
中に潜んでいる「権力欲」、「人間不信」の大きさが占める割合が本当に
大きいよなぁ………って感じてしまったのですね。(^^ゞ









(念の為改行)




秦の始皇帝と言えば、言うまでも無く「焚書坑儒」を実行し、数千人の
儒者を崖から突き落としたり、「万里の長城」を築いて、当時は大変
だったのですが、今では「観光資源」になっている(笑)とかの業績は
余りにも有名なのですが、僕が最大に評価したい事柄がありまして、
それは「度量衡」、「車軸の幅」を統一したことなのです。

何だ………と思ってはいけません。実際にこうした「規格」が一本化
されるまでには、他諸国では大いなる時間が必要とされたのです。
こうした「規格」を統一したことにより、「物流」の整備化が如何に進
んだか?を考えると、「覇王」とは言え、「業績」は評価すべきでしょう。

本体の「映画」の方に移りますね………。

僕が、冒頭に「権力欲」と大書したのは、王 志文(ワン・チーウェン)
様演じた、長信侯と皇太后との間の二人児をあっさりと処刑してしま
う所なんですよ………。

でもねぇ………自分が政の立場でしても、必ず殺しております。(^^ゞ
「人質」として諸国で、色々と辛酸を舐めてきた政としては、その児が
大きくなったときに「自分と同じことを考える」と肌で判っていたのです。
「災いの種」は摘み取っておくのが上策と僕もそう考えておりますので、
「絶対的権力」さえあればそうしているでしょう。(断言)

まあ、それによって人々の反撥を買い、宮中が乱れていくのは言わば、
「歴史の法則」だと考えておりますので、少し控えめに「追放」で押さえて
置くかも知れませんが、当時だったら殺すしか方法が無いのです。

で、その二人の子供が処刑される原因となったのが、長信侯の反乱
ですが、実に彼のキャラクターって好きですね。

「高い所は苦手で御座います」と、「弱み」を見せているかの様に見せ
掛けて相手の優位感を与えてしまう。言わば「宮廷力学」の最たる遊泳
術ですし、それをしている限りは彼の身は安全だったのですが、
「色恋」は「策士」とも言え、人の心を狂わせますし、彼も隠し子が発覚
したことに因って身の危険を察知したのでしょう。

その「反乱」ですが、まあ………(涙)ですねぇ。
でも、彼の真骨頂はその後の場面に出てきまして狂喜乱舞致しました。

「俺はどうなっても良いから、部下を助けてくれ」もありますが、実は
かなり義侠心に溢れた人だったのでしょう。或いは「死」を見詰めた
男の最後のダンディズムか?

そして、その後、「宮廷人」ならではの復讐を果たすのです。(*^^*)ポッ
政に彼の出生の秘密を暴露してしまう………。しかも笑いながらです。
これには本当に痺れましたね。正に、素性を隠し通して生きてきた
「男の最後の美学」ですし、「反逆児」としての人生最後の花舞台。

で、パンフレットを読むと………王 志文様は、『朱家の悲劇』でも、
あの「長男」を演じていたんだと知り、思わず納得!!!!!!

影を秘めた優雅なる「反逆」を演じられる役者として、現在彼の右に
出るものは居りません。

「大河ロマンを愛する会」 大倉 里司(HCD05016@nifty.ne.jp)

BGM:OST『リディキュール』

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