(誠)『下妻物語』

此処は茨城県の下妻。水田以外に何もなひ、不良文化花盛りの田舎町。そんな中に、絢爛豪奢
を極めた十八世紀仏蘭西に花開ひたロココ文化に傾倒してゐた一人の可憐な御嬢様がいらつし
やひました。その方の名は竜ヶ崎桃子様(深田恭子御嬢様)桃子御嬢様は、御父上(宮迫博之
様)が起こした不祥事に因り、難波の地を追はれ、祖母(樹木希林様)の御実家がある下妻迄
都落ちをしてゐたので御座ひませう。難波の地で金子を稼ひてゐたのは、ヴヱ○サアチや、ユ
ニヴアサ○・ジヤパン等の高級装束の贋作を販売して、可也の額の金子を御父上から頂ひてゐ
た桃子御嬢様で御座ひましたが、都落ちに伴ひ御父上の家業も左前になつたので御座ひます。
そこで桃子御嬢様が考へ出した妙案とは、個人通販の雑誌に広告を打ち、在庫品を個人で取り
扱ふことに。最初は不安な桃子御嬢様で御座ひましたが、壱通の葉書が届けられましたの。
それは買ひ付けの申し込みでしたのよ。ですが桃子御嬢様の予想に反して、そのお方もまた
時代の流れから弐拾年ばかり遅れてきた暴走族仕様で固めて居られました。御名前は白百合
イチゴ御嬢様(土屋アンナ御嬢様)でせふか?イチゴ御嬢様は大層装束を御気に入り、弐千円
の金子と引換へに装束を手渡したので御座ひます。これが水と油程違ふ御二人の友情の発端と
なろうとは誰もが予想してゐなかつた事でせう。

久々にマダムにお出まし願いましたが(お呼び出しするのに10日以上掛かりました(^^;)
予告編を観て観る気を失う映画ってありますが、これもそうした一本で御座いました。劇場
公開時に予告編は観てはいるんですが、何だかとっても突拍子も無い展開になりそうで、安全
牌を選択した結果見送った訳ですが……本編が始まって3分後に「劇場で観ておくんだった」
と後悔しましたね。確かに突拍子も無い展開なんですが、一本のガッシリとした太い軸がある
為に映画がブレていないんです。それは、水と油程違う二人の性格ですが、世間一般から孤立
している事と、それを全くと言って良いほど気にしていない点なんですねぇ。
そんな二人が段々とお互いの気持ちを思いやり、やがて一本の線となって絡みあう様は誠に
持ちまして正統的な描き方ですし、マダムも絶賛されておられましたがロココ文化の象徴と
して
ジャン・オノレ・フラゴナールの『ぶらんこ』(ロンドン・ウォレス・コレクション蔵)
を取り挙げていらっしゃったのには、実は深い意味があるんです。ロココ絵画の最高傑作の一枚
と絶賛される本作品ですが、実はこれが評価されたのは、画家がこれを描いた時と……再び日
の目を見た20世紀に入ってからなんです。仏蘭西革命が起きて画壇の勢力図もガラリと変わ
り絢爛豪奢なロココ派から、質実剛健な新古典派の時代へと移り変わった時代。この絵の作者
であるフラゴナールも「生きた侭葬り去られて忘れられた画家」になってしまったと言う事。
しかしながら、持ち前の陽気さで何とか余生を送ったと言う史実があり、それが桃子御嬢様の
キャラクターと微妙にダブってくると言うのは穿ち過ぎた感想でしょうか?

そして、この映画には、万全とも言えるキャスティングの妙が実に活きております。桃子御嬢様
が心酔する『BABY, THE STARS SHINE BRIGHT』の社長兼デザイナーの岡田義徳さまが、納期の
件で桃子御嬢様に諭すシーンは、観客であるこちらの予想を180度近く覆す嬉しい展開\(^o^)/
ギリギリのギリ迄引っ張って、引っ張って……ああ……やっぱり夢は夢で終わるのかなぁ?
と思わせた所での展開であれですから、役者冥利に尽きることはこの事でしょう。
そして……桃子御嬢様が選んだ選択もまた、実に深い……一番好きな事を仕事にしてしまうより
もそれはそれで置いておいて「ユーザーの花道」を選んだ選択も見事\(^o^)/
御金の為に年に1〜2回程度引き受けて、その後は「消費者」として豪奢に贅沢を愉しむ。これぞ
ロココの花道!

そして、イチゴを演じられた土屋アンナ御嬢様は、本作品で2004年度の新人賞を総ナメにした
観がありますが、よくぞ彼女を発掘してきた!中島哲也監督は偉いってことで(^^)/~

「裏社交界の徒花」マダム・DEEP
初代「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2005年7月24日 ビデオにて鑑賞)

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