(愛)『シンプル・プラン』

90年代最高のサスペンス小説と御大スティーヴン・キング先生がこの『シン
プル・プラン』が出版された時大絶賛致しましたが、ぼくもそれは極めて「正
当な評価」だと思っております。(超断言!)

映画版に当っては、当初はマイク・ニコルズ監督の予定だったと聞いておりま
して………大丈夫かなぁ………と思っておりましたが、去年、サム・ライミ監
督が撮ったと聞き、しかもジェイコブ様を演じるのがビリー・ボブ・ソーント
ン様、ハンクの奥方を演じるのがブリジット・フォンダ御嬢様、しかも、脚色
したのが原作者のスコット・B・スミス様と言うこともあり、アメリカで映画
が公開された時から、超、超、超、超、超、超、超………期待していたのでし
たが、予想をまるで裏切られることなく素晴らしい出来として仕上がっており
ました\(^○^)/\(^○^)/

この映画には、「あい」が濃密に詰められております。\(^○^)/

「あい」は「愛」であり、「哀」でもあり、「I」でもあるんですよ…(感涙)

物語の方は極めて単純かつ、普遍的なメッセージが込められております。

とある田舎町の飼料店に会計士として勤めるハンク・ミッチェル(ビル・パク
ストン様)は、大晦日の日に兄ジェイコブ(ビリー・ボブ・ソーントン様)と
ジェイコブの悪友ルーと一緒に父の墓参りに行く………その際にふとした切っ
掛けで森に墜落した飛行機を発見………中には440万ドルの現金が手付かず
で残っていた………一度は警察に届けることも検討したハンクだったが………
ジェイコブとルーの二人に説得され、しばらくの間現金を保管し、何事も無か
った事が判った時点で3等分するという案を立てたのですが………妻のサラ
(ブリジット・フォンダ御嬢様)が、「一部を戻したら………」と言う妙案を
出したが為に、計画は徐々に………だが、確実に狂ってゆくのでありました…
……(号泣)

普段は慎ましい暮らしをしていた「幸せ」が、棚からぼた餅、飛行機から現金
によって儚くも崩れて行く様………。何の意識もしなかったけれどもそれは
「幸せ」だったと感じるあの日々。

演技、脚本、演出、音楽、撮影…全てに渡って「愛」が込められております。

演技で言えば、ビリー・ボブ・ソーントン様の白熱した演技。彼が一人独走す
るのでは無く、見事に他の方々の力量をも引き出す希有な名演。
ジェイコブ・ミッチェルと言うキャラクターを少しも歪めることなく、矮小さ
れることも無く「あるがままに包み込んだ姿」に「愛」を感じてしまうのです。

脚本の見事さ。スコット・B・スミス様は「原作」を読んだ人でも楽しめる様
に「別の可能性」を生み出し、しかも原作のもつ「怖さ」の方では無く、「哀
しさ」を全面に押し出し出すことに成功しております。

それは、ルーの奥方であるナンシーに迄、顔を与えているんですよね。(涙)
酒飲みで失業中の夫を持ち女手一つで家計を切り盛りしてゆけば多少性格が荒
んできても不思議ではないでしょう………。恐らくは地元から一歩も出たこと
が無く、地元の高校で夫となるルーと知り合ったと思わせるだけの奥行きが溢
れております。

演出で言えば、サム・ライミ監督はカルト者だけありまして、全然嫌味が無い
んですよ。冒頭に出てくる狐のシーンで今後の運命を提示していることに唸ら
されました。

音楽は『黙秘』で驚愕のスコアを手がけた、ダニー・エルフマン様。静かにで
すが徐々に崩壊してゆく「幸せ」を見事に照射した旋律です。

撮影は、ぼくは初めて知る人ですがアラー・キビロ様。「人が住んでいる冬」
の寒さを醸し出しております。

劇場ではそんなにヒットしていない様ですが、この映画、実はビデオ向きでは
無いかとも思ったのですね。

これ………全然貶しておりません。ぼくにとっては最高級に近い賛辞です。

家族で………出来れば、お子さんを抱えたお母さんにこそ観て頂きたい映画な
のです。女性映画と言う訳では有りませんが、恐らく「弱者で無くては判らな
い痛み」とそれに対しての「愛」がふんだんに盛り込まれております。

ぼくは、『黙秘』以来のサスペンス映画の名作と信じて疑いません。

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(10月1日ワーナー・マイカル・シネマズ 市川妙典9にて鑑賞)

BGM:立川談志『鼠穴』

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