(儚)『サンセット大通り』

今から50年前……映画が誕生してから、現代まで100年強。その折り返し
時点でこんなに過激な映画があったとは……

売れない脚本家のギリス(ウィリアム・ホールデンさま)は、借金の取立人に
追われて郊外にある荒涼とした館に逃げ込む。そこには無声映画時代一世を風
靡した大女優ノーマ・デズモンド(グロリア・スワンソン姐さん)が、執事マ
ックス(エリック・フォン・シュトロハイム御大)にかしずかれて住んでおり
ました。ノーマは、何とかカムバックを図るべく、自作の脚本『サロメ』の手
直しをギリスに要求。その報酬として彼の衣食住総てを保障する策に出る。
やがて……歳老いた女と若くてハンサムな男性の常として、ノーマはギリス
を愛してしまい……それに脅えたギリスは邸宅から離れようとした時、悲劇が……

いやはや……何とも凄い話です。もう「古典」として完成されていますねぇ。
この手の話だと、「若きツバメ」にセックス・アピールが無くては成立しない
のですが、ウィリアム・ホールデンさまも『ネットワーク』から24年前なん
で若い!昔から50年代のリーゼント・スタイルって男の魅力を激減させるも
のと考えております。この作品も例外ではありませんが、唯一髪型が崩れる
シーンがあり、プールから出るところでもあり、上半身裸!萌えますわよん(*^^*)ポッ
一物が思わず固くなってしまった程の「水もしたたる良い男」なんですねぇ……

何度も言い尽くされているでしょうが、この3人のキャスティングが絶妙の配
置。シュトロハイム御大が演じたノーマとの関係なんかも、知らなかっただけに
「おおっ!」と唸らされました。伊達にオリジナル脚本賞を取っておりません。
そして……鍵を握るヒロイン(?)には、殆ど彼女自身だと噂され、それを逆手
に取ったスワンソン姐さんの女優根性♪

「恥は痛みと同じ、一度感じれば終りよ」では御座いませんが、幾多の出演作
があってもこれだけは映画史上永久に残る一本でしょうし、「恥」だけではなく
「女優」としてやはり一世を風靡しただけの「美の様式」が随所に残っているの
ですねぇ(感心)

更に凄いのは、セシル・B・デミル御大、バスター・キートン御大他、伝説の聖林
黄金期を彩った方々が実名で出ている点。『ザ・プレイヤー』も現代の聖林大絵
巻としては凄かったですが、「格」の違いはいかんともし難い。
むしろ『プレタポルテ』のほうが、欧米映画人大集合の匂いがするオールスター
・キャストとして評価しているんですが……まあ、これは余談。

現実と虚構の狭間で揺れ動く人々の「儚さ」を見事に掬い取った古典的名作!!
そして、今観てもまるで古さを感じさせないビリー・ワイルダー御大に感謝。

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司

(2001年5月28日ビデオにて鑑賞)

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