(噺)『しゃべれども しゃべれども』

古典落語を愛する二つ目の落語家・今昔亭三つ葉(国分太
一さま)。思うように腕も上がらず、悩んでいる彼のもと
に、「落語を、話し方を習いたい」とひょんなことから三人
の変わり者たちが集まってくる。すこぶる無愛想で口下手な
美人・十河五月(香里奈御嬢様)、勝気なためにクラスにな
じめない大阪から引っ越してきた少年・村林優(森永悠希く
ん)、毒舌でいかつい面相の元プロ野球選手・湯河原太一
(松重豊さま)。
ところが彼らは集まるごとに言い争い、なかなか落語も覚え
ない。そんな彼らをまとめなくてはならない三つ葉は、密か
に想いをよせていた女性が来年結婚することを知り、また一
つ、つまずいてしまう。
落語は上達しない。教室はうまくいかない。女にフラれた。
どん底の三つ葉を救ったのは、尊敬して止まない師匠・小三
文(伊東四朗御大)の十八番「火焔太鼓」だった。師匠の
噺が好きだ。落語が好きだ≠ニあらためて実感した三つ葉
は、一門会でその「火焔太鼓」に挑戦することを決意する。
一方、なんとか「まんじゅうこわい」をマスターした十河と
村林も、発表会の開催を決めるのだが……。

「本の雑誌」誌上で97年度ベスト1に輝いた佐藤多佳子さま
の小説を平山秀幸監督が映画化と言う所までは知っておりま
したが、映画を観ながら思ったのは、こんなことだったら原作
を先に読んでおくんだった!と言うことなんです。
落語家と言う「喋り」を生業とした人を主人公にして、「書
く」ことが生業の小説家が小説にどう仕上げたのたが非常に
興味がある事ですし、その小説をどう映画化したのか?その
再構築の過程が知りたいと思った次第なんです。

本作品には、「喋ることが下手」と言うよりも「対人関係を
築くことが苦手」と言うキャラクターや「対人関係を求めて
いるのにそれを他者から拒絶されている」キャラクターも登場
し、彼等の悩みに主人公である三つ葉が接触して行くことで、
お互いに持っていた長所を引き出し、自信を取り戻すと言う
過程が大変に丁寧に描かれていて非常に好感が持て、かなり
身につまされた部分でもあります。

他者とのコミュニュケーションなんですけれども、自分の場合
一番近いと感じたのが元プロ野球選手・湯河原太一でしょう
か?物事を頭では判っているんだけれども、それを表現する
手段を持っていない。それが故に苦悩してしまうんですね。
ですから、3人の登場人物の中で彼だけが落語をマスター出
来ずに終わってしまうのでありますが、その代わりに「人生
で一番大事なもの」を再度発見するチャンスを得られると言う
形で救いを与えていますし、他の2人に関しては落語の発表
会の席でそれが何であるのかが見えてくると言う構成が実に
自然な流れとして持ってくるところが巧い。

あと、物語の解説の中では触れなかったけれども三つ葉の祖
母役で八千草薫姐さんが出てきて、お茶の先生をしているの
でありますが、実にキリッとしていて(・∀・)イイ!!

派手さは無いけれども、自分はこれから何をしたいんだろう
かとジックリ考えたい人。或いは対人関係で躓きやすく傷つ
きやすい人には是非とも観て頂きたい佳作として推させて頂
きます。

初代「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2007年5月26日ユナイテッドシネマ豊洲にて鑑賞)

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