(煙)『サンキュー・フォー・スモーキング』

ニック・ネイラー(アーロン・エッカートさま)は、タバ
コ業界を代表する凄腕のPRマン。「情報操作の王」の異
名をとる彼は、高まる禁煙運動の弾丸を、魅力的なスマイ
ルと巧みな論理のすり替えでかわし、業界の繁栄の為に前
進し続けている。世間一般では嫌われている彼だが、一人
息子のジョーイ(キャメロン・ブライトくん)だけは、そん
な父親を尊敬していた。訴訟を未然に防ぎ、反タバコ法案を
掲げる上院議員(ウィリアム・H・メイシーさま)をやり
込め、ハリウッドのスーパーエージェント(ロブ・ロウさま)
をも巻き込むあの手この手の戦略を展開するが、思わぬ落
とし穴が待っていた……。


実を申しますと今年の3月まで煙草を20年間吸っておりま
した。吸いながら思っていたのは何時か止めたいなぁ……と
言う事で、禁煙はカッコ良いと思わせる煙草会社のCMの
罪たるや誠に重いと言わざるを得ません。

そうなんです、所謂生活必需品に関しては、CMの必要なんて
無い訳でして、まあ精々牛丼屋が当店の牛肉はオーストラリア
産を使用していますと宣伝する位。

ところが、煙草に関しては、まず不味いし、煙たいので余程
の事が無い限り自発的に吸おうなんて思わない訳なんですよ。
その気持ちを「カッコ良い」と思わせるのが腕の見せ所で御
座いまして、そこに官民一体(?)となった大キャンペーン
が仕込まれている次第。そう煙草は1割のニコチン・1割の
タールと8割の税金を吸っているようなもの。

いや……話題が逸れてしまいました。何故逸れたのかと言い
ますと、ブラックな風刺を利かせたコメディを期待して観る
と肩透かしを喰らわされるので要注意と言う呼びかけ。
退屈する程酷くはないんだけど、全然笑えないんですねぇ。
これが……(--;)
むしろ、この映画の美点は、意外や意外「父子鷹」モノでし
て、奥方と別れて男やもめのニックと週末になると引きずり
廻されながらも何だかんだと楽しんでいるジョーイの車中でん
のさり気ない描写が一番良かったりするのです。

親は子を観て育つと言いますが、この親にしては中々良く出
来た御子様で、別れた母親もなんだかんだと言いつつ、公聴
会の席に息子を連れていくし、やはり良く出来た母親なの
でしょうねぇ。

と……妙に纏まりが良すぎて、それが「毒」の部分を弱めて
しまったのかなぁ?

「裁判映画友の会」広報担当 大倉 里司
(2006年10月23日 日比谷シネシャンテにて鑑賞)

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