(帝)『太陽』

1945年8月。その時、彼は庭師のように質素な身なりをして
いた。その人の名前は、昭和天皇裕仁(イッセー・尾形さま)。
宮殿はすでに焼け落ち、天皇は、地下の待避壕か、唯一被災を
免れた石造りの生物研究所で暮らしていた。戦況は逼迫してい
たが、彼は戦争を止めることができなかった。その苦悩は悪夢
に姿を変え、午睡の天皇に襲いかかる。みるみるうちに焦土と
なる東京。失われる多くの命。うなされるように目を覚ます天
皇の孤独。日本は、まだ闇の中にある。やがて、連合国占領軍
総司令官ダグラス・マッカーサー(ロバート・ドーソンさま)
との会見の日が訪れる。彼は、ひとつの決意を胸に秘めていた。

世界各国の映画祭で話題になっておりましたが「現人神」で
あらせられた「昭和天皇」の御姿を……と言う究極の「菊タブー」
に触れた為、日本公開は不可能だと思っていましたが、遂に
観る事が出来ました。

「菊タブー」と言うのは見事に吹っ飛ばす程のイッセー尾形さま
の名演と細部に至れば至る程瞠目すべき美術の数々。いやはや
見事な作品です。

とりわけ凄いと思ったのが、ダグラス・マッカーサーとの会見で
熱心に「鯰」の話をする科学者としての裕仁と、軍人であり、現
実主義者であるマッカーサーの対比。熱心に鯰の話をすればする
程、そんな事には興味も関心も御座いませんとばかりに、席を中
座してしまうところに、戦勝国と敗戦国のそれぞれの力の違いや
また……生き方の違いが垣間見れて興味深かったですねぇ。

さて……余談なんですが、「天皇」は、エンペラー=皇帝と訳さ
れていましたが、皇帝と国王の違いは如何に?

実は、皇帝って言う存在は、一回それが途絶えてしまうと国体が
崩壊してしまう程の存在であり、片や国王の場合は、首の挿げ替
えが行われても国体に何の影響も及ぼさない存在とされておりま
す。

実は、この「皇帝」=「現人神」から「人間宣言」に至る過程に
て一つの悲劇がさらりと描かれているんですが、戦後直後の日本
を襲った心理的な衝撃を表すのに実に効果的に使用されておりま
す。

本人が思っている以上に「菊の御門」の存在は大きかったのねぇ…。
で……これまた凄いのは、桃井かおり姐さん演じた香淳皇后陛下が
夫である昭和天皇の手を握り締めて、皇太子等が待っている大広間
に向かう様にしているところ。

はぁ……やはり、オンナは強かったのねぇ……戦後、有楽町のガー
ド下で米兵相手にパンパンとして生きぬいてきた女たちが今の銀座
裏社交界の下地を作ってきたのでありますが、表の世界も裏の世界
も逞しきは母であり、妻である女たちなのねぇ……と思ってしまっ
たラストでありました。

初代「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
2006年8月9日 銀座シネパトスにて鑑賞

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