(霊)『デビルズ・バックボーン』

幽霊とは何か……?幾度と無く過去から蘇る苦悩の記憶か?或いは痛みの
瞬間、死んだ者の中に生き続ける何か?時を彷徨う人間の想い。色褪せた
古い写真の様に……


舞台は、激動の内戦下のスペイン。人里離れた荒野の真ん中に建つサンタ
・ルチア孤児院。内戦に因って両親を失い、孤児院に連れてこられた12
歳の少年カルロス(フェルナンド・ティエルブくん)は、陰鬱な大人たち
に迎えられた……。幼児を漬けたラム酒を飲む老牧師カザレス(フェデリ
コ・ルッピさま)と内戦に因って義足を余儀なくしている女院長カルメン
(マリサ・パレデスさま)離れに住む気性の激しい管理人ハチント(エド
ゥアルド・ノリエガさま)とその恋人らしきコンチッタ(イレネ・ビセド
カルロス御嬢様)実はこの孤児院。孤児院と言うのは表向きの理由で、裏
では共和派の資金を保管している拠点の一つだった……。カルロスの両親
も共和派の闘士で今回の内戦に因って命を落としていた。

そして園内には……フランコ率いる反乱派から落とされた不発弾が一つ。
そんな環境でカルロスは新しい生活を始めることになる。彼に与えられた
ベッドは「12番」。孤児院の子供たちがざわめき始める。

「あれはサンティのベッドだ…」

入所したその日からカルロスは、どこからともなく聞こえてくる囁き声、
姿の見えない水を滴らせた足跡に悩まされるようになる。それは、かつて
この孤児院にいた少年サンティの霊だった。

かつてこの孤児院で何があったのか?カルロスがその秘密を知った時、
哀しくも残酷な悲劇の幕が上がろうとしていた……。

この監督&脚本を担当したのは、吸血鬼映画に新解釈を与えた傑作『クロ
ノス』、疫病の原因となる害虫を撲滅させる為に新種を開発し、それが故
に人間が危機にさらされるバイオ・ホラーの傑作『ミミック』、同じく
吸血鬼物でもちょっと風変わりなバンパイヤ退治アクションの続編『ブレ
イド2』のギジェルモ・デル・トロさま。監督名だけでこの映画を観よう
と思っている数少ない一人です。

ところが……今回は、ちょっと違うんです。デル・トロ映画の筈なんで
すが、「らしくない」と言うか……こういう一面もあったの?!と驚いて
仕舞ったのは、製作にペドロ・アルモドヴァルさまが絡んでいるせいか?

「らしい」ところを列挙すると……子供が出てくる。そしてあるグロテ
スクなもの(ナ○クジ)が出てくる点……(((キ゚Д゚)))) ガクガクブルブル

と……言う事で、ナ○○ジ嫌いの方!観る際には十分注意して下さいね!
被害者は自分だけで十分ですからm(_)m

とは言うもののナ○○ジが出てくるのに、映画の幽霊はそんなに怖く
無いんです。むしろ此れほどスジが通った清く正しい幽霊も珍しいと感心
する程!<応援するぞ!
(『呪怨』の亡霊の皆様は、サンティの爪の垢を煎じて飲んで反省する
よーに(^^;)
そんな訳で、配給会社が銘打った「最恐のホラー」は、完全な誇張です。

この映画……恐さと言うよりも、遣り切れなさ……哀しさが残る言わば
『禁じられた遊び』のオカルト版とでも申しましょうか?



















出来れば映画を観た後で読んで下さい

 











この映画に濃厚に漂うもの……それは、亡霊と言うよりも内戦の悲惨さ。
幽霊となって彷徨うサンティが、カルロスに警告します。「いずれ此処で
大勢死ぬことになる」と……。
その惨劇の引き金になったのは、皮肉な事に共和派の資金源として、この
孤児院が持っていた金塊でした。しかし、金塊は厳重に金庫に仕舞われ、
鍵も女院長のカルメンが持っていて、彼女以外には、どれが金庫の鍵か
判らない始末。その金塊を隙あらばと狙っていたのが、かつてこの孤児院
で過ごしていたハチント。年増女のカルメンと情事のお相手をして、鍵を
抜き出し一つづつ試していた次第。

街では反乱派の勢力が強くなり、外人義勇団も次々と処刑される状況を見
て、カザルスらはこの孤児院からの移動を決断します。その際、金塊を狙
っていたハチントの企みが発覚し、ハチントは追放の憂き目に……。
ところが、彼は戻ってきて、脱出用の車からガソリンを抜き取り、孤児院
自体を破壊してしまうんです。(第一の悲劇)

戻ってきたハチントとその仲間によって、救助を求め町に出ていったコン
チッタも殺害……残されたのは、瀕死のカザルスと子供達だけ……。
そこにサンティの亡霊が再度登場……「ハチントを此処に連れてきて」と。

爆弾が落とされたあの日、サンティはハチントに因って殺されていた……。
その事実を知ったカルロス。恨みを晴らす為にこうして再三自分の前に
登場していたのだった。

と……言ってもハチント一派に因って監禁された子供達は、脱出不可能と
思われましたが、死んだカザルスの身体を借りたサンティによって扉が
開かれた……。反乱する子供達……竹槍ならぬ木槍で全身を突き刺され、
かつてサンティが突き落とされた貯水槽に落ちて落命するハチント……。
(第二の悲劇)

何とか一命を留めた子供達は、孤児院を出て町に向かう道を歩き始めます。
足を引きずっている子供も居ります。何処に行くのでしょうか?そして、
内戦中のこの先、彼らに明るい未来はあるのでしょうか……?

それを見守る男の影……それと共に冒頭のナレーションが繰り返されます。

幽霊とは何か……?幾度と無く過去から蘇る苦悩の記憶か?或いは痛みの
瞬間、死んだ者の中に生き続ける何か?時を彷徨う人間の想い。色褪せた
古い写真の様に……
幽霊は私だ。

このナレーションで映画は終わります。無念を晴らしたサンティはもう、
幽霊では無くなり、代わりにハチントが亡霊となってこの孤児院に留まる。
それを意味したラストシーンですが……やっぱり遣り切れなさは残ります。

ハチントと言えども元々は孤児で、一番悲惨な状況にあった……そして、
この戦乱を利用して、金塊を奪えば一山当てる事が出来たかも知れない。
コンチッタと言う愛する人も居た……が面子を守るそれだけの為に命を
奪わざるを得なかった。戦乱と言う状況下でなければ、孤児院爆破計画
も世に明らかになり、何れは自分が犯人であることが明らかになってし
まう……そう、この一連の惨劇を生んだ要因は、スペインを血でニ分割
した内戦にあった次第。第二次大戦こそ参戦しなかったスペインですが、
この内戦により60万人と言う死者を出すと言う悲惨な結末に終わり、
反乱派VS共和派が和解するまで60年と言う長い年月を要したのであり
ました……。(第三のそして……最大の悲劇)

初代「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2005年4月22日 ビデオにて鑑賞)

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