(地)『マジェスティック』

時は、「赤狩り旋風」吹き荒れる1951年。そして外せないのがハリウッド。
新進脚本家のピーター・アプルトン(ジム・キャリーさま)は、デビュー作の
『サハラの海賊』が、ジョン・ヒューストン監督の『アフリカの女王』とともに
チャイニーズ・シアターで上映されることになり、これで自分も上り坂\(^0^)/
と思っておりましたが………何と!非米活動委員会からの召還命令!(涙)
「これで自分も破滅かぁ………」そうヤケになったアプルトンは車に飛び乗り、
夜通し西海岸を走らせる。途中で事故を起こして川に転落。見知らぬ海岸に打ち
寄せられた彼を助けてくれた老人は、近くの田舎町ローソンの住人だった。

ところが………街の住人誰も彼もが記憶を失った彼に見覚えがあると言う………
彼は、戦場で自らの命を顧みずに8名の命を救い”議会名誉勲章”を受け、
その後消息を断った町の英雄ルークに瓜二つだったのでありました。

所謂”映画ファン”から総スカンを食いそうな内容です(笑)だってねぇ………
「赤狩り」、「ハリウッドテン」そして………英雄の父親ハリー・トリンブル
(マーティン・ランドーさま)が映画館を経営していて、その復興に一役買う
と言う役割でしたら、拒絶反応が起きるのも当然かも(毒)


でもねぇ………自分はこの映画大好きなんですよん。何故かと言えば「映画を
扱った映画」よりも「戦後史を扱った映画」だからなんです。そして、アメリカ
合衆国建国の理念に基づいた映画とも言えます。

これを解く鍵は、町名にあるんです………町名は「ローソン」と申します。
コンビニの名前を連想する方も沢山居られるでしょうが、このコンビニエンス
ストアの由来を御存知でしょうか?「律法の子」と言う意味なんです。

即ち、旧約聖書でも………ユダヤ人は認めない「新約聖書」でも基本は、
「神」と被造物たる「人間」の契約に基づくものでして、そのカナメとなるもの
が「モーセ五書」に記された「律法」です。

”神の法”と”人間の法”は異なるものですが、人工国家アメリカ合衆国に
置いては、”人間の法”と”建国理念”を一緒にしたかった部分が濃厚でして、
それが故に「地縁」が世界で一番発達している国であります。

つまり………”法”と”住所”に基づいて貴方をアメリカ国民と認めるって
ことが割りと寛容。但し、建国の歴史に沿って「血は流す」ことをして初めて
認められるのも特徴であります。<日系二世部隊の活躍と戦後史を重ね合わせ
ると良く判ります。

ちょっと固い話ばかりになりましたが、ここが伏線なんです。

自分自身と映画を重ね合わせると………この映画、非常に良く判るんです。
日系二世部隊云々と書きましたが、所謂戦後派世代として、第二次世界大戦の
「太平洋戦線」は、どうしてもフィルターが掛かってしまうんですね(涙)
自分は、新保守主義者の意見とは正反対の左翼側ですが………それでも、
フィルターを通さないで「戦史」を見たいというものがありまして、日系
二世部隊(四四二歩兵連隊、百大隊等)は、フィルター無しで正当に評価出来
る貴重な記録だと思っています。

その絡みを含めてですが、日本の戦没者墓地には一切足を運びませんが………
日系二世絡みで全米(特にハワイ州)の墓地には通いました。
その光景に嘘がないんですよ<映画の中で

自分は仏教徒ですから、数珠と喪服を着て御参りをする訳なんですが、
やはり………それをすると向こうの扱いがまるで違うんです!
言葉は出来ませんので目礼止まりになりますが………違うのを感じました。

さて……このルークというお方、大変です。”議会名誉勲章”と言うのは
まず、生きている間は貰えない最高の勲章なんです。
勲章で命を差し出すのか?と言う御意見は誠に御尤も。でも……実際に戦った
兵士にしてみれば、重いんです。気持ちを形にしたらこうなる………てもの
でしょうか?

映画の後半で「三つ葉葵の印籠」の如く出しますが………これは効く(笑)

自分がこれを好きな理由は、もう一つありまして………「英雄の帰還」を
只一人だけ快く思っていなかった人間が居たことなんですね。

それは………小さな街ローソンで、ダイナーを営んでいるボブ・レファートさま
(カール・ベリーさま(*^^*)ポッ)なんですねぇ………。

彼は二次大戦で片手を失い………「パープル・ハート」止まりだったので
しょう。(パープル・ハートとは戦傷者に与えられる勲章)皆様からルークだ!
と迎えられた彼に対して「本人も嫌いだが………お前も嫌いだ」と捨て台詞
を吐く憎まれ役(涙)

ですが………こうした人間こそ自分が最大評価をするんです!\(^0^)/
何故かって………「闇」があるからなんです。

ボブさまですが………戦場に行って人間が変わったと思っています。生前の
ルークとは妬ましく思っていたけれども、「評価」は間違い無くしていた筈
なんです。

それに………彼は自分の手で何人か殺していますね。自分の「手」が失われた
ことで「傷」を負ったのではなく、見ず知らずの他人を「敵」として目前で
殺してしまったことに深く深く「闇」を背負って生きてきた………

そうでなければ、礼装に軍服を着て、義手で礼をする意味がこうならなければ
不自然な気がするんです。

同様なパターンが『この森で、天使はバスを降りた』<名作!のネイハム・
ゴダートさまにも言えることなんですが、二人が違うのは、奥様を愛して
いたか?否か?なんです。勿論、ネイハムさまも奥様を愛していたでしょうが
それよりも「娘」さんのほうを強く強く愛していた。

ところが………ボブさまは、かなり奥様思いなんです。それを解く鍵は、
二人して映画館「マジェスティック」を訪れた『欲望と言う名の電車』にこそ
秘められております!(断言!)

何故かって………これって、男の希望で観に行く映画ですか?
マーロン・ブランドさまと、ヴィヴィアン・リー御嬢様夢の共演ですが………
ダンスが出来なかったんで、せめて奥方が好きそうだからって感じが濃厚に
するんですよ。

何とかしてやりたい………って一途な男の思いが伝わってくるような選択に
自分は思えました。

初代「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2002年7月1日 ワーナーマイカルシネマズ市川妙典スクリーン3にて鑑賞)

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