(癒)『ギフト』

ジョージア州にある小さな町。アニー・ウィルソン(ケイト・ブランシェット
さま)は、工場の事故で夫が他界した後、カード占いをして生計を立て、3人の
子供たちを育てつつ細々と暮らしておりました。こんなアニーを頼ってくる常
連のひとり、ヴァレリー(ヒラリー・スワンク御嬢様)は、粗暴で、女好きの夫
ドニー(キアヌ・リーヴスさま)の暴力に悩んでいて、いつもアニーにカードを
見てもらう。傷だらけのヴァレリーの顔を見て、ドニーと別れるよう助言する
アニー。それを知ったドニーはアニーを快く思わず、彼女を魔女扱いする始末。
アニーは、長男の学校の教師ウェイン(グレッグ・キニアさま)から長男のこと
で呼び出され、彼の学校での態度について注意を受ける。数年前の事故で、父
親を失った長男は、そのショックから立ち直っていなかった。その日、アニー
はコリンズの婚約者ジェシカ(ケイティ・ホームズ御嬢様)を紹介される。土地
の名士の娘で、淫靡な魅力にあふれたジェシカは、気まぐれにふたりの結婚の
ゆくえを占ってほしい、と言いだす。彼女の顔を見たアニーは恐ろしい幻想を
見てしまった………それが全てのはじまりだった。


隙が無い……それがこの映画の全般の印象です。全てに渡って「無駄なシーン」
が一つも無いんです。主流を流れるのは、アニーの物語なんですが、彼女が占い
師と言うこともあって、町の住人の「闇」を垣間見てしまうと言う設定が上手い
です。殊に印象に残るのが、車の修理工として働いているバディ(ジョヴァン
ニ・リビシーさま)の抱えている心の傷。
「ブルーのダイヤモンドを殺す」と言う言葉の裏に何があったのか?
そして……自殺願望も抱えていて、観ているこちら側もつい応援してあげる秀逸
な役作りを為さっておられます。
殊に暴力夫ドニー(キアヌ珍しく好演!)から銃を突き付けられ、「殺せ!」と訴
える眼の虚ろさは観ていて……つい滂沱の涙。

自殺願望……南部特有の湿地帯……過去の秘密。そして優れた俳優陣……、
さらにこの映画の鍵を握るもう一つのものがあるんですね。

それは……「カード」

カード占いと言えば主流は、78枚で構成されるタロット・カードか、52枚の
トランプですが……この映画のヒロインのアニーは、飛んでも無いものを遣いま
す。それは「ESPカード」。
「ESPカード」で占いをする方法なんて、聞いたことがありません。(笑)

でも……逆に上手いなぁ……と感じたのもそこでして、映画に出てくるカード
の場合、大概が14世紀から流通しているマルセーユ系のタロット・カード
(『レッド・ヴァイオリン』の場合もマルセイーユ系の品です)タロットの場
合、22枚の大アルカナ・カードと56枚の小アルカナ・カード(これがトラ
ンプの原型です)それで……絵が付いているのは22枚の大アルカナのほうな
んですね。
これを使うと絵的に映えるんですよ……壊れた塔から落ちる人、悪魔、ラッパ
を吹く天使、死神、法王、月、太陽、愚者、魔術師……で、何か不吉なことが
起きる!と予告したい場合は13の死神のカードの正位置を遣えば……見てい
るほうも判るんですよ。なんですが……ESPカードだとサッパリ判らない(笑)

ところが、流石はケイト・ブランシェットさま。迫真の演技でカヴァーしてお
られます。「手」なんですよね。自分もカード占いに手を染めていますんで判
りますが、彼女の場合、カードを通常読もうとしている際は、「手」をテーブ
ルの上に置いています。ところが……ジェシカ失踪の際に、彼女の父から依頼
された時の占断は、カードの上から2〜3センチのところで「手」を止めてい
るんです。これで……「カード」の遣い方が判りました。優れた鑑定家がそう
であるように、「カードの意味」では無く、「直感」で判断しているタイプの
鑑定家です。

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
自称「カルト部屋御挨拶係」大倉 里司
(2001年6月30日 新宿東急にて鑑賞)

「か」行で、はじまる映画の感想にもどる

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送