(友)『ハイロー・カントリー』

サム・ペキンパー監督が、映画化を夢見ながら遂に果たせなかった、マックス・
エヴァンズの原作をマーティン・スコセッシが製作を、スティーヴン・フリア
ーズが監督を務め、脚本は『ワイルド・パンチ』のウォロン・グリーン様が書
いた本作ですが、しみじみとした味わいが残る良い映画です。\(^0^)/

一番偉いのが、スコセッシでして、よくこの原作を映画化するに当たって自分
で遣らずにフリアーズに任せたことなんですね。(^o^)
本当に『グリフターズ〜詐欺師たち』以来のフリアーズの堂々たる傑作が誕生
しました。(嬉)

冒頭から思いつめた表情で、ピート(ビリー・クラダップ様)が、ショットガン
を弄りながら、「今日こそあいつを殺す」と呟く………そして回想へ。真珠湾
攻撃による日米開戦前夜、ピートとビッグ・ボーイ(ウディ・ハレルソン様)が
ピートの持馬を手放したことから、二人は無二の親友になる。
やがて、日米開戦へ………二人とも志願し、ビッグ・ボーイは海兵隊に、そのせ
いで激戦区で戦っていたが、やがて終戦を迎え帰郷する。が……彼等を待ち受け
ていたものは、成り上がりの外道ジム・エド(サム・エリオット様)による農場
の支配だった……。
二人はそれに抗していたが、ビッグ・ボーイの弟、リトル・ボーイ(コール・
ハウザー様)はジム・エドの配下になっていたことにより兄弟の亀裂が入りはじ
めていた……。ジム・エドの腰巾着であるレス(ジョン・ディール様)の妻モナ
(パトリシア・アークエット御嬢様)にピートが一目惚れしてしまうが、彼女は
不毛な夫との生活に嫌気が差して、半ば公然とビッグ・ボーイと付き合っている
仲だったとピートが知るまでは、そう時間が掛からなかった……。

こうした「愛憎を含んだ男女の心の変化」を描くことに関しては、当代随一の
フリアーズ節が冴える冴える\(^0^)/\(^0^)/

パトリシア・アークエット御嬢様演じたモナは、文字通りのファーム・ファタール
でして、当人の意思とは無関係に男たちが巻き込まれていくんですよね。
そして、ビッグ・ボーイが良い男だから、ピートとしても惚れてはいるんだけ
ど困ったなぁ……と言うより生き地獄を味わうんですよ。それに絡んでくるしが
らみの数々。

ビッグ・ボーイの弟であるリトル・ボーイも、実に哀れな存在なんですね。
あれだけの兄がいたのだったら、同じことをしても勝てる訳が無い……てなこと
で、ジム・エドの配下になるんでしょうけれども、彼は苦しかったと思います。
尊敬すべき対象ではありましたが、肉親となれば親友とは違った側面が生まれる
んですが、そうした心理を短い描写ならがも、コール・ハウザー様は巧みに演じ
ております。

ピートを演じた、ビリー・クラダップ様は、髪が黒くちょっと「TRL」に出て
くるベル二等兵を演じた(ベン・チャップリン様)の面影があって、ウディ・ハ
レルソン様と二人で並んでいると……おや?ここは塹壕じゃないの?(笑)と突っ
込みを入れたくなったのは最初だけでして、キチンとピートと言う男を演じてい
るんですね。

男も描けているし、友情の描写も良い。女を巡っての微妙な揺れ動き、男の見方
と女の見方の差異も面白い。その上で話しが進んでいくものですから、正にフリ
アーズの18番!!\(^0^)/

この『ハイロー・カントリー』は、時代と共に取り残されてしまった男たちへの
挽歌と言うペキンパーが好きそうな題材と、フリアーズの18番である「愛憎を
含んだ男女の心の変化に因って物語が進む」と言う幸福な符合が成功した傑作です。

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(12月1日 シネマライズ渋谷にて鑑賞)

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