(甥)『ネフュー』

5代目ジェームズ・ボンドで名をあげたピアース・ブロスナン様が、製作並び
に出演もされていると言うことで、日本買い付けが決まったのかなぁ?と観る
迄はそう思っておりましたが、それに加えて内容も良いんですわ。思わぬ拾い
ものの一本でした。

愛蘭土のイニシュダラ島に住んでいるトニー・イーガン様(故、ドナル・マッ
カン様)は、20年前に島と自分を棄て、単身紐育に渡った妹カレンからの最
後の手紙を受け取る。そこには、自分の最後の願いとして、息子チャド(ヒル
・ハーパー様)を島に行かせるので面倒を看て欲しいと書かれておりました……。
が……トニーの予想に反し、チャドの肌の色は黒かったのです。チャドも村人か
ら怪訝な眼差しで見つめられたが……。そんな偏見をものともせずに、チャドは
村の一番の成功者ジョー・ブレイディ(ピアース・ブロスナン様)の娘アシュリ
ン(アシュリン・マッグギン御嬢様)と恋仲になる。だが、チャドの伯父のトニー
もアシュリンの父のジョーも、このロマンスには猛反対する。その理由は、チャド
の肌色が黒かっただけでは無かった……。トニー、カレン、ジョーの20年前に何
があったのか?

愛蘭土の牧歌的な背景を写し出しながら、広義の意味でのミステリーと為っている
ところが見事なんですよ。監督のユージーン・ブレイディ(中々の男前)がかつて
出会った事件を下敷きにしているようなんですが、確かに田舎と言うか……一種
閉鎖的な社会では十分に起こり得る悲劇なんですよね。
そうした意味で、舞台がこうした「土の匂い」が感じられる愛蘭土で撮影された
ことに十分過ぎる程の必然性がありますし、初監督なので、若干ぎこちない点もあ
りますが、脚本と配役が強固な地盤を形成しておりますので、さして気になりません。
多少の疵がむしろ愛らしく感じられる程。

配役で言えば、これが遺作となってしまったドナル・マッカン様の頑固親爺ぶり、
ピアース・ブロスナン様のやや押え気味の演技(と……言いつつ製作者の特権
で美味しいところは持って行くのですが(^^;;)新星二人、ヒル・ハーパー様の
美形ぶりには驚愕!かなりの有望株(*^^*)ポッ、アシュリン・マッグギン御嬢様の
伸びやかさ……そして、屈折したポール役の青年(名前が不明)と良い配役です。
そして、かなり陰惨な話にも係わらず、幾つかのケリをつけ最後の大円団に持って
いくところで、良い映画を観させて貰ったなぁ……と嬉しい気分で席を立つことが
出来ました。

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2000年4月9日 ケルティック・フィルム・フェス 草月ホールにて鑑賞)

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