(絵)『オペラ座の怪人』

つい、今しがた『オペラ座の怪人』を観たのですが、この数年の師匠の中では
一番好きですし……映画的にも一番バランスが取れているのを感じました。

個人的にアルジェント師匠の黄金期は、『サスペリア2』〜『フェノミナ』迄
だと思っております。『オペラ座〜血の喝采』も『マクベス』上演中の犯人探
しの場面迄が最高\(^0^)/

ところが……娘さんのアーシア・アルジェントを主役に据えて、舞台を米国に
移した『トラウマ〜鮮血の叫び』は、誉めたくても誉められない映画なんですね。
これで………一時期は、ファンを辞めようか?と真面目に考えた程です。

次の『スタンダール・シンドローム』は、ハッキリと「新展開」への決意が判っ
た映画なんです。舞台を地元イタリアに持ってきて、伝説とも言えるあの魅惑的
なオープニング。ルネッサンス絵画の名作をスクロールするという贅沢さ。これ
ぞ「官能!」でしたし、多少は退屈でしたが、前作があれなので、上手くなって
いるなぁ………と嬉しかったものです。

そして、今回の『オペラ座の怪人』ですね。

1877年、パリのオペラ座。若きソプラノ歌手クリステイーヌ(アーシア・アルジ
ェント御嬢様)が無台でひとり稽古をしているのを、「幽霊」(ジュリアン・サ
ンズ様)が見つめている。彼は彼女の声と美貌にたちまち魅了され、彼の思いは
言葉を使わなくとも彼女に届き、やがてふたりは舞台裏や楽屋で密かに会うよう
になるが、思わぬ妨害が二人を襲うのでありました………

これを観て、「うん、変態さは残しつつも、常識的な作りになったなぁ………」
と思ったのです。と……言うのは、鼠取りを生業としている男がいるのですが、
「幽霊」は、何と超能力を持っていて鼠取りの男の手を罠に掛けさせます。
そこに襲いかかる鼠なのですが、今迄のパターンから言えば、『インフェルノ』
にしても、『サスペリア』にしても鼠に食い殺されると言う展開ですが………
今回は手を齧られるだけ………と言う大人しい展開なんですね。

そして、別のシーンで「少女愛好者」の中年男が嫌がる少女にチョコレートを
無理に食わせて悪戯をしようとするのですが、殺されるのはその男だけなんですわ。
『フェノミナ』でジェニファー・コーネリー御嬢様を「あのプール」に落とした人
と同一人物とは思えない(笑)でも、その後、「嘘吐き」と言うことで少女は打たれ
てしまいます。やはり変態さは健全(^^;;

それと………やはり、アルジェント師匠の「美意識」は一流でして、今回は映画
の中にも度々登場する、エドワルド・ドガの「絵」の影響が随所に伺えます。
踊り子のシーンは言うに及ばず、洗濯女が洗濯をしているシーンとか、サロンの
情景とか………「印象派」の絵を参考にした場面が多く堪能致しました。
それと………幻想シーンでは、ボッシュや、ブリューゲルの様な「暗黒絵画」的
なものも多く、絵画ファンにはかなり楽しめる作品となっているんですね。

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2000年2月16日ビデオにて鑑賞)

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