(輝)『ストレイト・ストーリー』

ふう………長かった第15回東京ファンタスティック映画祭もこれを持ちまし
て終幕。持ってきたのが…デビッド・リンチの最新作『ストレイト・ストーリ
ー』です。これは、今回の東京国際映画祭の大半の特別招待作品よりも、遥か
に格が上。観ている間も涙ボロボロの文句無しの秀作。

話しの方を簡単に要約すると………一行で収まってしまうんですね。(笑)
老齢の男が、十年前に仲違いした兄にトラクターで五百キロの距離を旅行する。
一行ですね。(^^ゞ

ですが、もう少し旅路の補足をすることに致しましょう。

アイオワ州ローレンスに住んでいる73歳の老人アルヴィン・ストレイト(リ
チャード・ファーンズワース様)は、娘のローズ(シーシー・スペイセク様)
と二人で暮らしていた。或る日、ふとした口論で10年以上も仲違いしていた
兄ライルが心臓発作で倒れたことを知ると、アルヴィンは周囲の反対を押しき
って何とか仲直りをしようと500キロ離れたウィスコンシン州マウント・ザ
イオンに行こうと決意したのだが………アルヴィンは目が悪い為に車の免許を
持って居なかった。頼れるのは時速8キロのトラクターだけ………6週間にも
渡る旅路が始まろうとしていた。

これだけの話しです………ですが、70年代のロードムービーの良い所をリン
チ風の「毒気」を含ませながら進んでいくので、ひたすらに心地良い風が吹い
てくるかのようなのですね。

まず、娘のローズ………「兄に会いにいくよ」とアルヴィンが語ったあと、
「どうやって?」と問い掛ける様な眼差しをするのですが、その眼を観ただけ
で泣けて参りました。と………言うのは、その眼に二つの問い掛けを感じたの
です。

一つ目は、本当の意味で解らないと言う意味。
もう一つは、かつてどうにも為らないことをされて、人生に絶望した眼だった
からなのです。

やがて、それが明らかにされてゆくのですが、アルヴィンの優しい語り口によ
って癒されていくような心地になりました。

ヒッチハイクの少女………トラクター販売店の亭主、トラクター修理工の双子…
全てのキャラクターが良いし、実話に基づいた話しだけありまして、無茶な設定
には為っていないんですね。

そして、更に泣かせるのが………途中で自転車競技の若者達と出会い、そこで
話される「真実」………歳を取って良い事、辛い事を遠慮無く若者は尋ねるの
ですが、かつて「輝き」を持っていて(今でも失っていないけれど)それでも
「若かった日のことを今でも覚えていることだ………」との台詞には滂沱の涙。

他にも沢山ありますが……観て感じてください。この素晴らしさを\(^0^)/

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(11月5日第15回東京ファンタスティック映画祭クロージング作品)

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