(運)『3人兄弟』

旧ソ連の軍事基地があったカザフスタンの某地。この村には、クレイン、テラ、
そしてチブートと言う3人兄弟が仲良く暮らしておりました。何も無い村と言
っても、無理矢理遊びを考え出してしまう少年達。彼等のお気に入りの遊び場
は、爆撃演習で攻撃対象とされる廃棄寸前の機関車置き場。そこの管理人の老
人カザンパスの与太話につきあっている平穏な日々が続いておりましたが……

少年時代を扱った映画は沢山作られていますが、この『3人兄弟』は「子供の
遊び方」に関してはかなりリアルでして、日本でも昭和40年代頃迄は、こう
した空いた土地がまだまだあったのですよ……。暮らしぶりは違うけれども、
何かそうした所で共通点を見出しついニヤけてしまうんですね。

そして、低予算で……最初はタルそうな映画だなぁ……と思っていたのですが、
随所にかなりブラックな笑いを織り込んで一気に引っ張る力量は流石です。
上映時間が80分と短めなこともありましたが、非常に興味深く観ることが出
来ました。これだけでも小品でありながらも佳作と言っても良い出来栄えだと
思うんです。




(以下ラストに触れています……これが「キモ」の部分なんです)









物語は、最後の5分を除いては淡々とユーモラスに進んでいきます。これだけ
でも「買い」なんですが……ラスト5分で全ての仕掛けが解き明かされる構成
となっておりまして……(涙)











冒頭に出てきた青年パイロットは、察しの良い方ならば気が付かれたと思うん
ですが……(自分は最後にやっと気が付きましたm(__)m)末っ子のチブート君
が青年になった姿だったのですね……。
彼が最後に語るモノローグがグサリと突き刺さりました。(爆涙)

「良く人から、”どんな時が怖い?”と聞かれる……自分は、”暗闇で海の上
を飛んでいる時が怖い”と答える。海と闇が渾然一体となって引き込まれそう
になる……そんな時には計器だけを頼りに飛び続ける……」

参りました……「奇跡なんて起きないんだ」と呟いて終わった少年時代が何故
あれほど美しく楽しいものだったのか?そして……あの事件後、彼の性格が変
わってしまったのか?そうした諸々の要素を集約した見事なモノローグでした。

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2000年11月4日 東京国際映画祭 シネマプリズムにて鑑賞 シアター・コクーン)

BGM:OST:『運命の逆転』より『This is all you can know』

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