(兵)『地獄の戦線』

此処はテキサス州……父親に家出をされて母子家庭に育つ、マーフィー少年は、
母と兄弟を助ける為に、一家の大黒柱となる決意を幼いときから固めておりま
した。1942年18歳になった彼は、海兵隊と海軍に志願をしますが……
童顔(ホントに若い顔なんです)身体が小さい為に入隊拒否される。やっとの
ことで陸軍に入隊し……北アフリカ戦線へ……ところが、生まれて初めて船に
乗ったため、船酔いを起こしたり、部隊に配属されたは良いけれども、歳が若
い坊やの為古参兵に馬鹿にされたり……と散々な日々。大して戦果を挙げるこ
となく、今度は地獄のイタリア戦線へ……シチリア……モンテカッシーノと言
う激戦地帯を多くの戦友を失い得たものは……24個の勲章だった。
帰国後……映画スターとなり、自らの体験を綴った最前線物語。

制作されたのが、1955年と言うこともあり、好戦的と思われる描写もある
のですが……個人的には、かなり好きな部類です。
まず……オーディ・マーフィーさまは、既に亡くなられているんで、こんな事
を言うのは失礼かも知れないのですが、御顔が可愛いのです!(*^_^*)(ポッ)
32歳でこの顔立ちだったら……まあ、童顔の方は顔が変わらない傾向がある
ので、最初は確かに舐められただろうなぁ……と容易に察しが付くのですね。

文字通りの「最前線物語」でして、本人が直々に演じているので、やはり……
主役のオーディよりも、亡くなった戦友の方々に光を当てているのが評価の最
大の理由。映画を観ていてもこれだけでは、単に撃って戦果を挙げているのは
判るのですが、やはり……生きてこられたのは、仲間の犠牲があったからだ。
と思う姿勢が見えるのです。
自分は生きていてこうして脚光を浴びている……でも、戦死した友人に捧げた
い……この当時は、まだ二次大戦の経験者も多数居られたでしょうし、その想
いは大切にしたいところであります。

殊に光るのが、マイケル・トンプソンさまが演じたジョンソンと言う方の肖像。
彼は国で……奥方と子供と離別してはいるのですが、まだ棄てきれていない所
があるんですね。それを聞いたオーディは、自分が母子家庭に育った経験から
彼には縁りを戻して欲しいし……また、危険な任務からは外そうとするんです。
そうした……さり気ない戦友への想いが、エピソードの積み重ねで描写され、
CGが無くとも……大セットを組まなくとも率直に痛みが伴ってくるのです。

ただ……時代性の問題で、敵兵に顔のある人間が出て来なかったのは惜しい事
ではありますが、それでもイタリア戦線で出会った少女との交流。そして、その
家族との断絶を描くことで……戦禍のもたらした害悪は描けているのでは?と
考えております。

あと……興味深かったのは、「USO」等と言う、懐かしさで溢れる言葉が使
われていたこと。原語では今でも使っているかも知れないですが、少なくとも
今は字幕では使われない言葉ですねぇ。そして、実戦経験者は歩き方が違う!
小走りに走るところとか……特に顕著なのが、偵察歩き(?)とでも言うので
しょうか?小銃を構えながら歩く姿が違うんですねぇ……

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2001年5月10日 ビデオにて鑑賞)

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