(虚)『トゥルーマン・ショー』

昨日(98年11月17日)に丸の内ピカデリー1にて『トゥルーマン・ショー』
を拝見致しました。「話題作」だけあって、劇場横の階段には長蛇の列。
思わず、『踊る大捜査線』の列かと思ってしまいました。(笑)

何と言ってもジム・キャリー様の御顔が美しい!!!!
とりわけ、図書館でのシーンは「レンブラントの陰影」を出していて秀逸
です。


お話の方も、実に「毒」に溢れた描写の連続に大笑い。「可笑しゅうて
やがて哀し」がこの映画に贈る言葉でしょう。



(ちょっと改行)



何よりも凄かったのが、水恐怖症にも係わらず、最愛の人を目指して
ヨットにて単独航海をしているのですが、その際、何と「壁」にぶち当た
ってしまうんですねぇ………。

その瞬間には笑って、直ぐに哀しくなりました………。
もし、この壁を出たとしても、その後の彼の人生はどうなるのか?
一見するとハッピーエンディングの様に思えますが、僕が感じたのは、
警備員に捕まるかも知れないと言う可能性もありますが(笑)
しばらくの間は、「虚構」の世界に生きてきた人間が「現実」の世界で
やっていけるのかなぁ………と感じたことです。
例え、「最愛」の人が居たとしてもですよ………。

まあ、「苦難」を求めて、その外に出ようとした彼の生き方ですから、
僕があれこれ言っても仕方無いことなのですが………。

それで感じましたのが、脚本を担当されたアンドリュー・ニコル様の
「特質」ですね。

前作の脚本&監督を担当した『ガタカ』でも感じたことですが、常に
彼は「運命に”努力”を持って対抗する者」を描こうとしております。

前回のテーマでは「DNA」が全てを決定する社会であり、今回は
クリストフに因って作られた「仮想現実」的な空間によって支配されて
おります。エド・ハリス様が演じられたクリストフは「父」的な役割を
果たしております。

で、ふと思ったのが西洋占星術における「土星」の概念です。
ギリシャ神話においては、後継者のゼウスによって殺された古い
時代の支配神「クロノス」なのです。
星の意味は、「古い時代の社会意識を示す老賢人」であり、
その為、制限、圧迫、親の制限、古い社会的な風習等を示して
おります。

それに対抗する意味としてのキーワードは「努力」、「勤勉」なの
です。

『ガタカ』でロケットは、土星の衛星のタイタンに向かい、今度の
『トゥルーマン・ショー』では、偽の父親を演じてきた男と、彼を
支配したクリストフと言う「創造者」が出て来たことは実に興味
深いと感じております。

何やら、映画の感想と言うよりは、アンドリュー・ニコル論にな
って仕舞いましたが、たまには良いか………。

ピーター・ウィアーは僕的には「海王星」のイメージなんですが
………(蛇足)

『モスキート・コースト』、『ピクニック・at・ハンギングロック』等
は、「辺地」と「現実」でうつろって居る人を描き出していたと
思いますし、今回の「壁」も実に象徴的。

海王星を司る神は、ずばり海の神、ネプチューン。

「大河ロマンを愛する会」 大倉 里司(HCD05016@nifty.ne.jp)

BGM:Maderus『Os Dias Sao a Noite』

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