(怪)『メビウス』

この数年観た映画の中で、文句無しに一番の「怪作」です。(呆然)

幾つか映画評を読んだのですが、「テーマは良いのに映画が追いついていない」
的な評が多かったのですが、それは半分当たっています。と……言うか、この
映画の監督&脚本を担当したマイケル・アルメレイダ様は、明らかに「確信犯」
で行っている節があります。

物語の方をごく簡単に説明すると……

ノーラ(アリソン・エリオット様)は、夫ジム(ジャレッド・ハリス様)と息子
ジミーの三人で、両親の莫大な遺産によりアメリカで優雅な生活を送っていた。
しかしノーラには夫に言えない秘密があった。不意に襲いかかる得体の知れない
フラッシュバックとそれに伴う極度の不安感…。ある日、祖母(ロイス・スミス様)
に会う為に愛蘭土の実家に戻る決意をするが、屋敷に戻る最中でもノーラにしか感
じられない幻覚が襲うのだった。
屋敷に戻った彼女は、目の悪い伯父ビル(クリストファー・ウォールケン様)に会
うが、何故か祖母には会わせず、地下室にある2000年前のミイラに引き合わせ
るのだった……。やがて、奇怪な出来事は加速を付けて倍加してゆく……

こう書くと、普通の「ゴシック・ホラー」に思えるでしょ?ですが、これを観終
わったあとの感触は「ダーク・ファンタジー」に一番近いんです。本当に不思議な
魅力がある映画です。

何故かと言えば、エピソードの一つ一つをバラバラに演出しておいて、出来が悪
そうに見せているんだけれども……実はそれが伏線だった!(驚愕)

とか……

御屋敷の内部も異常に美しく撮れている部屋と、明るすぎてホラーとしての感じ
をぶち壊しにしている部屋の二つがあるんです。部屋の内装は、本当に良い美術
スタッフが付いていますねぇ……簡素でありながらラファエロ前派を思わせる位
に趣味が良すぎるんです。でもって……台所などの描写は色気が無さ過ぎる位。
これ……敢えてそう撮っているんじゃないのか?と勘ぐりたくなるんですよ(涙)

観る人に因って、本当に解釈が判れるであろう結末を含んで、この映画は、基督
教的な「倫理観」とは違った「価値観」を含んでいるのを感じましたし、突き進
めてゆけば、通常の「良く出来た映画」になることを敢えて拒否した「挑戦作」
の匂いが濃厚に致します。

破綻しているか?と言えば決してそうでは無いんですね。だから普通に恐いんじ
ゃ無くて……ふとした切っ掛けで「穴が開く」怖さかも知れません。

自称「カルト部屋御挨拶係」大倉 里司
(2000年1月15日 ビデオにて鑑賞)

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