(顔)『U−571』

ときは、第二次世界大戦賑々しい1942年の北大西洋上。ドイツが誇る高性
能潜水艦Uボートは連合軍の巡洋艦、駆逐艦などに甚大なる打撃を与えつづけ
ていた。Uボートは「エニグマ」と呼ばれる暗号器を使い連合軍を翻弄、連合
軍は独軍の集中的な猛攻撃の前になすすべがなかった。とくに、北大西洋にお
いては独軍にいいように叩き潰されていた。

そんなとき、ある重要なミッションが下された。第一次大戦で活躍した旧式の
巡洋潜水艦S−33で大西洋上に故障し停泊しているU−571を奇襲、「エ
ニグマ」を奪うという作戦だ。暗号機さえ手に入れれば、独軍の動きを察知……
逆転の鍵を握れるのであるが……只一つ守られば為らないこと……それは奪った
ことを察知されては為らないことだった……。

良くこの映画を評するときに「大娯楽活劇」と絶賛派の方も否定派の方も使う
のですが……その通り。この映画は、「大娯楽活劇」に他為りません。

で……「大娯楽活劇」で何か問題あるの??????????????

確かに目新しい要素は一つもありませんね……でも、自分は「新規なる発見」
だけを追い求めようとはしていません。

この映画の魅力は、一にも二にも「定番の素材」を如何に上手く料理したか?
ってことなんです。主役のマシュー・マコノヒー様演じたタイラー大尉の成長
のドラマを縦軸にして、横軸に様々なキャラクターを配し織り上げた冒険活劇。
こう書いてしまうと身も蓋も無くなるんですが……

ですが「定番」だからこそ、それを如何に料理するかが難しいんです。

例えば……冒頭に出てくるドイツ軍のUボートの描写。ここでドイツ語で会話
が行われ……彼等も立場は異なれど「いろいろな顔をした貴方」が此処にいる。
そして……故障し、連合軍の兵士が海上で漂流している……射撃手が撃つんで
すか?とためらう……「総統閣下の命により、捕虜は必要無し……そして、
ここに居ることが知られては不味い」と艦長の命により射殺が行われる。

数時間後……偽装したS−33が通り掛かり……U−571乗っ取り!その際
に彼等が惨殺されてしまう……このシーンに何ら差別的なものを感じなかった
のですよ。交戦シーンってどこがどう違うか?と説明するのは難しいのですが
「感情を揺さぶられる交戦シーン」と「鼻歌交じりにフフンと見てる交戦シーン」
の二つがあるんです。一言で言えば「視線」の問題だとは思うんですが……例え
ば『SPR』の最初のシーンなんかは、何回と無く観させて頂いておりますが、
只の一度も震えが来たことは無いんですよね……単なる見世物。
ところが……今回の『U−571』では、相手の顔が分かっているだけに辛い。
こうした「分かりやすさ」が娯楽作品と呼ばれる所以でしょうが……これだけ描い
てくれたら自分にとっては後はオマケ。

で……オマケの部分も美味しいから文句は付けますまい。

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司

(2000年9月17日 ワーナーマイカルズ市川妙典スクリーン4にて鑑賞)

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