(夢)『UDON』

「世界を笑わせてやる!」と一流コメディアンを夢見て単
身NYに渡った松井香助(ユースケ・サンタマリアさま)
が、返し切れないほどの借金を抱え、一度は捨てた故郷・
香川に舞い戻ってくる。製麺所を営み、日々黙々とうどん
を打ち続ける、がんこ一徹な父親(木場勝巳さま)は「な
にしに帰ってきた」とケンもほろろ。それでも、親友・庄
介(トータス松本さま)の紹介でタウン情報誌「さぬき」
に職を得た香助は、小説家志望の編集者、宮川恭子(小西
真奈美御嬢様)と共に香川名物さぬきうどんのコラムを企
画し、やがて空前のうどんブームが巻き起こるのだが…。

観る前までは期待度が限りなく低かった本作ですが、見事
にやられてしまいました。ハッキリ言って顔立ちが地味な
3人を使って映画が成り立つのか?と映画を観ていつつそ
う思ったのでありましたが、杞憂に終わった模様です。

自分には文章力が無いので結論から先に言ってしまうと、
饂飩版『フィールド・オブ・ドリームス』であると言い切
ってしまいましょう。
と……その説明から入った方が書き易いや。

まず、この映画の根本を成しているのは「父と子」の関係
でして、生前仲がお世辞にも良いとは言えなかった親子が
親爺の死を切っ掛けにして、父が追い求めていた夢を知っ
ていくと言う展開。
そして……『フィールド・オブ・ドリームス』では、トウ
モロコシ畑を潰して野球場があるのに対して、此方は小麦
畑は潰さずに、製麺所の目の前に四角の貯水池があるんで
すねぇ。これは一種の「野球場」に対しての「見立て」だ
と思っているんです。

そして、この映画には『フィールド・オブ・ドリームス』
と同じく対照的な人生を歩んでいく二人が描かれているん
ですよねぇ。実は『フィールド・オブ・ドリームズ』って
言うのは、「父と子」の物語であると同時に、「やりたい
ことをやってきた男」と「やりたいことがあったけれども
自分でその道を断念して、別の道を歩んできた男」の話
でもあるんです。

ケビン・コスナー演じた主人公がユースケ・サンタマリア
だとするならば、一方で地元の広告代理店に勤務しつつ、
何れは親の家業である農業を継ぐ決意を固めた長男である
庄介(トータス松本さま)がバート・ランカスター御大演
じたムーンライト・グラハムなんです!(断言!)

さぬきうどんブームを作って「祭りは終わったなぁ……楽
しい夏やった」と庄助が語るシーンでは思わず涙が、そう
なんです。映画の中でも如実に語られているんですが、新
しいものを作るとは今迄あった古いものを壊してしまう作業
でもあるんですねぇ……。
この一連の流れに「大河」を見出すのですわ。だから自分は
断固としてこの映画を支持致します。

そりゃぁ……その後のエピソードが、かま玉饂飩の様にシン
プルなものでなく、カレーを掛けた上にコロッケ迄乗せてし
まうような下手をすれば、胃もたれを起こしそうな盛り沢山
の内容(上映時間が何と139分もあった!)でありました
が、それでも観終わった後、饂飩が食べたくなったのは言う
までもありません。

初代「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2006年10月1日シネマイクスピアリにて鑑賞)

 

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