(蜜)『ユリーズ・ゴールド』

本日サンダンス・フィルムフェスティヴァル・97・イン・トーキョー
に行って参りました。舞台挨拶とティーチ・インがあったのですが、
驚くべき事に監督の、ヴィクター・ヌネッツ様並びに、主演のピーター・
フォンダ様もいらっしゃっておりました。そちらの方は後で書きますが、
それだけ力を入れている作品だし、実に良く出来た映画です。

映画の方の紹介を簡単にすると。
養蜂家のユリーは六年前に妻を亡くし、息子が刑務所に入り、息子の
妻は孫娘を捨てて蒸発。二人の孫娘はそうした環境もあって非行に走
る寸前の状態。そんな中、彼のもとに息子から一本の電話が入ります。
妻ヘレンが昔の強盗仲間に「保護」されている。それを助け出して欲
しいと。ユリーは息子の頼みだし、仕方なく手を貸すのですが………。

このユリーと言うキャラクターが実に丁寧に描かれており、彼の実の父で
ある、ヘンリー・フォンダが生きていたら間違いなく演じていただろう
頑固で誠実で不器用な男なのです。

息子の妻であるヘレンを迎え入れたことによって、崩壊していった家族の
絆が徐々に結ばれていくところなどは、分かっていても泣けてしまう。
実に良く「アメリカ的な美徳」が実に丁寧に、そして70年代のロード・
ムービーを思わせる手法で描き切っております。

映画を観ながら思ったのが、ピーターと父ヘンリー・フォンダとの関係
です。彼も60近くなったし、親父を許せるようになったんだなと感じ
ております。
それが余計に映画の内容とダブってしまい、非常に余韻が残る良い映画
になりました。

映画が終わってからのティーチ・インにて、本当に失礼だと思いながら
僕はピーター・フォンダ様に一つの質問をしました。
でも、どうしても聞きたいことだったのです。

Q.実に良く出来た映画ですし、貴方の出演作の中で一番優れている
と思います。因みに、二番目は『アウトロー・ブルース』なのですが。
ただ、一つだけどうしても気になったことがあり、大変失礼かも知れま
せんがお伺いします。この役は貴方の御父様が好んで演じられた
キャラクターの様な気がするのですが、この役を演じるに当たって
抵抗はなかったですか?

A.ヴィクターが、この脚本を持ってきてくれたときに、自分の中にこれは
全部分かると言う感触があった。彼は私が引き受けてくれるかどうか
非常に不安だったようだが、自分としては非常に好きなキャラクターだ。
あと、『アウトロー・ブルース』だが、自分としても気に入っている。
以前からやりたかった歌えて踊れるキャラクターが演じられて良かった。

直接は、父のことには触れておりませんでしたが、帰り際に「気を遣うなよ」
的な眼差しで僕に手を振ってくれたのが非常に心地よい印象を与えて頂い
て僕にとっては嬉しかったです。

直接見た感じでは、実に良い歳の取り方をしていますね。感心しました。

(サンダンス・フィルムフェスティヴァル・97・イン・トーキョー会場
テアトル西友にて。)1997/12/06

大倉 里司(HCD05016@nifty-serve.or.jp)

 

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