(戒)『バブ・エル・ウエド街』

どんな形にしても、日本でアフリカ地区の映画が上映されるのは非常に機会
が少ないと思います。
そんな中で、現在4回目の『アフリカ映画祭』は貴重な存在であるでしょう。

今回は、機会を逃してしまい、一本しか観れていないのですが、その感想を
書きたいと考えました。

アルジェリアの首都アルジェにある、バブ・エル・ウエド街と言う地区がこの
映画の舞台となっております。

1988年に暴動があったそうですが、その後の地区対立の構図を一種寓話
的な手法でメルザック・アロアーシュ監督は描き出しました。

イスラム文化圏を見る場合、我々はどうしても、「宗教」と「非宗教」とか、
「原理主義」と「近代化主義者」の対立の構図として捉えてしまいますが、
実際はそれが建前であると言うことが非常に良く分かる映画です。

この映画の冒頭で主人公のブアレムが、アパートの屋上にあったモスクの
スピーカーを取り外して捨ててしまうところから、事件が始まります。

これを反イスラム主義者の仕業と見なした、街の英雄サイードにより、
事件が拡張し、段々と対立の構図を深めていくと言う話ですが、ちょっと物足
りないのが、主人公ブアレムとその彼女、そしてその彼女の兄であるサイード
の3人の話に収まってしまい、街全体の対立として描かれていなかった点。

内戦を描いた作品としては、『ブコバルに手紙は届かない』の方が、その対立
に至る過程を丹念に描写しており、好感が持てます。

但し、この映画を評価したいのは、あくまでもブアレムがスピーカ−を捨てた
「動機」なのです。
それは、イスラム教に反発して、スピーカーを投げ捨てた訳ではなく、あくま
でも「昼間寝れなかったから」と言う、夜勤者にとっては非常に身につまされる
話だったからです。

例えば、選挙の季節になると街宣車がぐるぐると住宅地も廻りますよね。
自分が支持している政党の車でも、それをやられた日には投票するものか!
とフテ寝をしてしまいます。m(_)m

でも、イスラム文化に興味の無い人がこの映画を観たら退屈するだろうな。(^^ゞ

(9月24日 アフリカ映画祭にて鑑賞)

大倉 里司(HCD05016@nifty-serve.or.jp)

BGM:シフサファー『ムハンマド・ムニール』

 

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