(福)『ウェイクアップ!ネッド』

「人生苦もありゃ楽もある〜♪」は、水戸黄門のテーマソングの一節ですが、
何の変哲も無い愛蘭土の小さな小さな村タリーモア(人口52人)に何と!
680万アイリッシュ・ポンド(12億円)の宝くじの当選者が居た!

そこから巻き起こる喜悲劇の数々と言ったら身も蓋も無い気がしますが、実に
良いですよ。\(^0^)/

大金を掴んだことに因って、人生が狂っていくのは、『シンプルプラン』もそ
うなのですが、あちらは「悲の中に込められた”愛”」、こちらは「”楽”の
中に込められた愛と哀」の映画なのです。\(^0^)/

両方の作品を貫き通すのは、紛れもない登場人物に対する「愛」の込められた
優しい眼差し。

一人一人の御顔が、愛蘭土の風土とそよぐ風によって皺の一つ一つが年輪とな
って刻み込まれ、それを草の匂いと共に優しく包み込むのが、ショーン・デイ
ヴィ率いる音楽団。何と名ボーカリストのリアム・オ・メンリィを据え、トラ
ッド・ケルトを中核にして実に心地良い音なんです。

登場人物一人ひとりが生きております。大金が当選したことに因ってショック
死してしまうネッド。このキャラクターが、生前の友人達によって徐々に解し
出されていく豊かさ。

ネッドに身寄りが無いことで、この侭であると折角の賞金が国庫に没収されて
しまう………何とかせねば………と一案を出すのがジャッキー。彼を演じてい
るのが、『戦場の小さな天使たち』でも忘れ難い味を残したイアン・バネン様。
その友人で、善人そうに見えて中々小回りが利くマイケルを演じたのがデビッ
ド・ケリー様。

最初からこの計画に荷担し、生前は密かにネッドに想いを寄せていたのかも?
と言う位に、深いキャラクターなのがジャッキーの妻アニー。彼女を演じたの
がフィオヌラ・フラナガン様。

この三人が年寄り連中代表ならば、養豚を営み、その家業の為に中々愛する女
性マギー(スーザン・リンチ御嬢様)と一線を超えられないのが、ピック・フ
ィン。このフィンを中核にしても、また一つの物語が生まれてくる脚本の妙。

このマギーと言う女性、中々のファーム・ファタール(魔性の女)なのですが、
彼女に言い寄るもう一人の男であるパッドのキャラクターも聖林製作の安直な
ラブ・コメディと違って、ちゃんとキャラクターが立っているんです。

普通、恋敵となれば嫌みで多少の金持ちを持って描くのですが、この映画には
「それだけでは無い」何かがあるのです。一方的な「恋敵」として単純に描い
ていない深みがあります。

そして、全編を包み込む愛が入ったカメラの視点………。

笛を吹いている男を先導が歩いて行く………その後にネッドの棺を持った若者
四人の姿………ああ、密葬だものなぁ………と思いきや、角を曲がってくるジ
ャッキーを初めとして多くの友人達。高らかに響くイーリアン・パイプの響き
………これには参りました。完敗です………熱い鼓動が身体の中を突き抜けて
ゆくのを感じ、ぼくも参列者の一人となっておりました。

尚、映画鑑賞後には、此方も御覧頂くことを強く推奨させて頂きます。

僅か15歳の天才少女ADU御嬢様が書かれた、日本で一番の紹介文を
読むことが出来ます。\(^○^)/


「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(10月13日 銀座テアトル西友にて鑑賞)

BGM:『ウェイクアップ!ネッド』より『天使も涙する話』

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