(史)『ワンス・アンド・フォーエバー』

1965年11月14日、日曜日午前10時48分。ハル・ムーア中佐
(メル・ギブソンさま)率いる兵士たちは‘死の谷'として知られるベトナム
の地、イア・ドラン渓谷の‘Xレイ'地点に辿り着く。
400名の彼の部隊は、2000人の北ベトナム兵に瞬く間に取り囲まれる。
そして長く激しい戦闘がはじまろうとしていた………

映画感想を書く上で、自分が一番気を付けていることは、その映画が面白か
ったのか?そうでなかったのか?なんですが………これは、そのどちらにも
属さない映画なんです。(涙)

監督作としては、『仮面の男』に次ぐ二作目となった、ランダル・ウォレス
監督なんですが………前作に比べて上手くなったねぇ………とでも申しまし
ょうか?

手堅く幾つかのエピソードを繋げてはいるんです。その抽出も中々ですし、
ミリタリー・ファンから観ても考証は忠実との事。ただねぇ……これだけ
大勢の人間が出て来て、メル・ギブソンという大スターを入れて、若手の
ホープの一人バリー・ペッパーさまにUPIの戦地特派員ジョー・ギャロウ
ェイさまを演じさせながらも………観たあとに何も残らないんですねぇ。

決してつまらないと言う訳ではないんですが、ホントに誰も印象に残らない
いや………居りました。訃報を届ける際に軍の準備不足でタクシー運転手を
使って配達するシーンがあるんですが、このシーンで運転手が「やりたくて
やっている訳では無いんですよ………」とスゴスゴと引き帰す様だけが、
どんな戦闘シーンよりもズシリと来たんですね。

で………思ったのは、『ブラックホーク・ダウン』の様に「血生臭い戦場
実況劇」にしてしまうか………或いは戦場を一切描かずに「兵士の妻」だけ
に絞るべきだったのでは?と思った次第。

まぁ………両方描いてみたかったのは判らないでも無いですが、何でしょう
ねぇ………まだ存命している方々ばかりの為に遠慮が入ったのか?
誰からも「肉声」が聞こえてこないんですわ。

評価すべき点としては、日本版だけかも知れないですが、戦場地点と時間
が画面の片隅に挿入されていたこと。これがあると………もし、これを切っ
掛けにベトナム戦争史を学ぼうと言う方には大いにプラスになるかも知れ
ません。

嫌な点としては………あのクライマックスでの「あれ」ですねぇ。(--;)
そりゃぁ………原作者が両方共に存命なので、結末は見えているものの
「あれ」で助けられたんじゃ………戦意向上映画になりはしませんか?(笑)

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2002年6月30日 日比谷映画にて鑑賞)

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